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私は怪物を育ててしまいました 『少年は残酷な弓を射る』 - 1953ColdSummer

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私は怪物を育ててしまいました 『少年は残酷な弓を射る』


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少年は残酷な弓を射る 
WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN
2012/イギリス/PG12 監督:リン・ラムジー 出演:ティルダ・スウィントン/ジョン・C・ライリー/エズラ・ミラー/他 原作:ライオネル・シュライバー 『少年は残酷な弓を射る』


『少年は残酷な弓を射る』。タイトルから察するに、恐らくは、少年が残酷な弓を射る話なのであろうと思っていたら、やっぱり少年が残酷な弓を射たので、HAHAHA、乃公の勘もまだ衰えずや、何しろ乃公は『英国王のスピーチ』という観てもいない映画の内容を「英国の王様がスピーチをするんでげしょ」と喝破した程の、ここまで書いていて涙が出てきた。かかる涙。これが何に拠るものかというと、邦題の心無さや停滞、これではまるで少年が残酷な弓を射るだけの前衛映画と勘違いされてしまうのではないのか、という老婆心、心配性から成るもので、さする短絡や先入観を乃公は望まぬものである。あります。

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 エヴァというおばはんが、町の片隅で隠れるようにして生き、なのに家には赤いペンキがぶち撒かれ、すれ違い様に町人に張り手を喰らい、仕事の面接では落とされ、怯えるようにして生きているのだけども、その理由がフラッシュバックや時系列を入れ替えて説明されていく、つうお話。然しくして、おばはんは、刑務所に服役している自分の息子には定期的に面会に行くのでありました。
 ……まるで自分の罪を償う義務が生じているかのように。

 時間と場面が飛びまくるのでそれらを捕獲するのに忙しくなるのだけど、語り手としての視点はエヴァに固定されているので、彼女の感情とシンクロニティを起こしておれば大丈夫、なんて甘い話が転がっているわけもなく、語られる方、エヴァの息子、ケヴィンの魔性はエヴァによって代弁される事はないし、また、理解もされない。理解しよう、理解したつもり、という気持ちがあっても、ケヴィンがいずれ引き起こす大事件を止められない、いや予測すら出来なかったという時点で、理解も代弁もあったものではない。ただ、望まれぬ劣情の種子から産まれ出でた少年、という事実のみが観ている者にあれこれ割って入る事を許し、作中、やたら潰される食物ややたら強調される赤色を橋頭堡として考える事を許して使わす、という偉そうな態度が気に入らなんだので「狂人の所業」という万能なる5文字でやっつけようかと卑俗なアイデアも浮かんだのだけど、カットバックで提示されるケヴィン少年の生い立ち。父親には懐くものの、母親には他人のように接し、いや他人事ならいいのだけど、三白眼で睨みつける、わざとシカトをする、挙句糞便を漏らす、という明らかに恣意性のある嫌がらせを行なう様子を斟酌するに、彼を狂人としたら自分も狂人となるのでは、と背中にぶるぶるが走って狂人の所業では済まされぬ事に思い至った。

『恐るべき子供たち』の係累となる作品であるが、文脈はもっと現代的で、「子供は無邪気ゆえに残酷」てな耽美に淫した主題は襟裳で冬に震えてろと言わんばかりに、先天性の社会悪としてぐつぐつ煮えたぎるケヴィン少年を活写しておる。要はサイコパスなんですな。一夜の情事でお前を孕んでしまったから私は夢を諦めざるを得なかったのよ、という母親の心の声を本能的に理解しており、且つ容れなかったがために反社会性を帯びてしまった。本作では母親エヴァが視たケヴィンの粗相や不穏は描かれど、ケヴィン側の主観は一貫して描かれない。つまる母親のエゴを弁士代わりにこれを観させられておるようなものなのです。

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 自分の子供が理解できないし怖くて仕方がない。

 ……とくれば、いつか何かやらかすであろうという事は想像に難くないと思うのだけど、父や妹とは上手く行っているみたいだし……という楽観が、大惨劇の引き金となり、自分の人生以て償わねばならぬ事になる。じゃあ、何をすれば良かったのだ、尊公には如何様な手段があるのだ、と問われればグゥの音も出ないし、グゥ、くらいは言えてもそれで許してもらえるとは到底思えぬし、最善手としては、ケヴィン少年に「弓」を与えてしまった父親とその危険性を説く事くらいしか思い浮かばないし、それかもう何かやらかす前にチョメチョメしてしまえば、あっそんな事書いちゃ駄目かっ、かくなる上は精神分析で言うところの「迂遠」。経験、出来事に基いてしかるべき筋に頼むのが正手であると優等生めいた事を言うしかなくなるが、そうした専門筋を頼って頼って頼りきるという描写が欠落しているのが現代劇としては勿体無い、まあそこで治療されて(サイコパスが治療できたらの話だが)ケヴィン君が真人間になってもつまらんので、もう愚痴々々言わない。

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 母親に自慰を見せつけ、ペットのモルモットを殺し、矢尻をやたら人間に向けるケヴィン少年。ここにひとつ連想されるものがあって、それは夜這いを繰り返し、山で射撃の練習をし、しこしこ武装品を集めていた……そう。津山三十人殺しの都井睦雄であり、『丑三つの村』で、そこには凶兆を見出しながらも大惨事に発展してしまったという似通った点がある。最も、理屈の有る、無しで両者はまったく違うのだが、一服つけながら考えてももやもやが残る。不穏の空気が醸成されるには理由があるものだが、理由と言っても色々あって、みんなそれぞれの理由が爆発しそうになっておるわけです。それが親のせいであろうが自分のせいであろうが。


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コメント
非公開コメント

小説を書いてるようなので覗いて見ました。読む時間がないので数行チラ見した程度なんですが・・・
1つ質問ですが、話の始まりがかなり雑に思えたのです。
例えば、「春めいてきた頃」の箇所では、何がどう春めいていたのかという描写がないのでそう感じたのかもしれません。
それについて答えていただければ、一度最後まで読んでみようかと思います。(どういう答えが返ってくるのかは想像できません)
小説が良いか悪いかの批評は難しいですね。好みもあるし、何が正解だとは言えないですから。

20130520 14:20 │ from URL Edit

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