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『フライト』 標的定まらぬ断罪の刃 - 1953ColdSummer

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『フライト』 標的定まらぬ断罪の刃

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フライト
FLIGHT
2013/アメリカ/PG12 監督:ロバート・ゼメキス 出演:デンゼル・ワシントン/他


 ああ、これは清廉潔白な機長がワガの濡れ衣を晴らす話とは違うのだな、と、割と早い段階で物語の構造が宣伝によってミスリードされておった事に気付く。かと言って、じゃあ物語の全容はどうなのだと言うと、これはもう救いの無いアル中、ヤク中、依存症の生態をねちねち描いており、はは、アル中の飛行機長が酔い喰らいながら墜落寸前の飛行機を立て直して乗客の命を救ったねんけど、どうおまんのや。という問いをまず冒頭に立てておる。おまんのや、という日本語が方言として正しいのかはよく分からないが、慌てず騒がず考えてみよう。何が正しくて、何が正しくないのか。

 デンゼル・ワシントン演じる主人公ウィップ・ウィトカー機長は、離婚即愛人として同僚を囲うわ、朝からグビグビとアルコールを煽るわ、平気な面して空港(職場)に遅れてくるわ、その職場でまた酒精を摂取するわと、これあまりにも自由闊達な人物で、が為に、かどうかは知らないが、デンゼル・ワシントンは監督であるロバート・ゼメキスに何で自分にこの役をオファーしたのか訊く事をしなかったらしいのである。
 で、イイ塩梅にアセトアルデヒドが作用してきたところに、件の事故、機体がトラブルを起こし、空中で飛行機が制御不能になってしまう。
 本作から、多用なテクスト、ないし判断の喚起を読み取る事は可能である、つうか、ベッドシーン(ヘアまでばっちり)から始まって飛行機が墜落しそうになってそれを救った機長がアル中で裁判にかけられてその間延々とアル中の苦悩をねちこらねちこら描いている映画から画一的な教訓を読み取れというのがどだい無理な話でおまんして、おまんして、という日本語が方言として正しいのかはよく分からないが、怒らず叫ばず考えてみよう。アル中機長を救世主と読み取るか社会悪と断じるか。

 まあ認めたくない人も居るだろうし、わたし自身も認めたくはないのだが、にんげんといういきものは人生の大半を、労働、というマゾヒズムに費やさねばならぬのであり、私固有の時間を作りたい、などとこぼすと、しゃらくさい、黙れ、黙って働け、手を動かせ、と怒号を浴びるのであって、不眠気味にカフェインを摂取しながら女工哀歌を歌うなどする人々が散見されるが、女工哀歌を歌う程度では済まぬのがウィトカー機長の職責というもので、これは乗客の命を預かり、また経済活動の基幹であるインフラストラクチャーの潤滑さを保つ上でも十二分に重かろう辛かろうものである。
 そんな大変な職掌がアル中だったら、と、何故にこのような脱・倫理的な脚本が書かれたのかは知る由も無いが、トリミングしようにも無理筋のアル中の飛行機長、という造形は、正悪、常識非常識、自由不自由といった二元論では簡単に論じ切れぬツイストを物語に与え、ギルティ・オア・ノット・ギルティではなくアル中の更生譚、もしくは堕落譚として、万骨枯れて一将の功と相成りますかー? てな具合にヒューマニズムで締め括られる。

 まあ、アルコールだけではなくドラッグまで絡んでいるのだけどね。

 酒と薬に溺れるのみならず、それをきっかけとした出会いや支えがあるところが本作をまた一捻りしてあって、ギリ・ニンジョーとワガの損得の葛藤にも主人公ウィトカーの主体があり、その延長線上にも発話の主体、もしくはアル中らしい剥き出しの自我が転がっている。命じられて禁酒しました。冷蔵庫を開けました。そこにはお酒がたくさん並んでいました。このシークエンスのサイケな事。はな、裁判のためだろ我慢せい、と居丈高に説教したがる向きもあろうが、そもそもそこで我慢できる人物なら端から裁判沙汰にはならんのである。

 斯様に内省を促される映画ではあるが、そこにはジャーナリズムめいた「主観の総体としての客観」も内包されているように感じる。観客が自己を投影するのはアル中ではなくそれを裁く側の司法であり野次馬なのだから、当然と言えば当然、まあアル中に自己を投影している人が居たら申し訳ないが、殆どの観客は報道的な視点で「人命を救ったアル中」の末路を見届けていよう事は想像に難くない。故に、発信(説明)しやすいベタな人情が受け入れらる土壌が138分の長尺にて作られていったのだろう。だから英雄か犯罪者か、正しいか正しくないかという問いかけは少しく違うように思えて、もっと根源的なアポリアを掘り返したくもなるものだ。


フライト FLIGHT 映画パンフレット 監督 ロバート・ゼメキス キャスト デンゼル・ワシントンフライト FLIGHT 映画パンフレット 監督 ロバート・ゼメキス キャスト デンゼル・ワシントン


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フライト/英雄か犯罪者かっていうか基本的にクズ。

フライト Flight/監督:ロバート・ゼメキス/2012年/アメリカ 真面目っぽい印象のデンゼル・ワシントンがクズを演じるとこうなるんですね。 丸の内ピカデリーで鑑賞。間違えて2階席

20130322 22:44 │ from 映画感想 * FRAGILE

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