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『ふがいない僕は空を見た』 みんな痛いんだ、なんて言い分は嫌いだ - 1953ColdSummer

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『ふがいない僕は空を見た』 みんな痛いんだ、なんて言い分は嫌いだ


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ふがいない僕は空を見た
2012/日本/R18+ 監督:タナダユキ 出演:永山絢斗/田畑智子/他 原作:窪美澄 『ふがいない僕は空を見た』


 人妻に魔法少女のコスプレをさせてハメ狂うというたいへん羨ま、じゃなかった、浅ましい行為に耽ったばかりに、社会的に抹殺されつつある高校生と、親族内で追い詰められつつある人妻の物語。
 ……と思いきや、はな、生活苦のうちに認知症を患った祖母を抱えている少年や、はな、助産師として働くものの感謝と反対の意をぶつけられる女性たちの物語も織り込まれた、群像劇、であって、群像劇、である以上、不妊症故の現実逃避としてのコスプレであるとか、そうした二面性/多面性が津軽三味線でべべべん言わすような語り口で物言い、ちょっとしたギャグも申し訳程度、ほんに申し訳程度にちりばめられておって、人生の痛み、生きることの苦しさ、を、どうやら伝えたいらしい本作の一服の清涼剤となっておりましたが、田畑智子のコスプレ姿は眼福であることよ、ほほ。という多幸感に乃公脳内を侵食され、実は本作をさほど咀嚼できていないかも。

 いちいち説教節でがなられなくとも、凡その人間は「人生は辛い」てなことを理解しておるのであり、だから人生は辛れえんだ、鬼ころしでも呑まなくちゃやってられるか、べっけ野郎、というような辛さ苦しさ、痛みに逡巡ということを伝えたくば、理解の範疇外、こういう視点からしても人生は辛いでゲショ? というようなアプローチをする必要がある。だが、そんな苦痛のみをクローズアップして見せつけるのは、映画って言うか、それを俗にただの嫌がらせと言うのであって、映画の作法に沿うならば作劇上のバイタリティが希求されるもので、その点、セックスに言葉の暴力にハッスルしておる本作はバイタリティ満点、ちょっくらタレか塩でいただくと美味しい部類に属するのではなかろうか。

 でも、まあ、人生の辛さ、痛さ、てなものには個体差があり、例えばわたしはこの時節には花粉という小さき悪鬼のせいで鼻腔に凄まじい苦痛を覚えるのであるが、それを見、はは、あの阿呆は鼻水垂らしてけつかっとるで、と嘲弄する人間が、家に帰ると娘に「お父さん臭いから寄らないで」などと極めて無表情に言われるというケースも想定され、一概に括れるものではない。その多様性を本作はどう描いたか。

 不妊を延々と義母になじられる里美という人妻は、「あんず」と名乗り同人誌即売会でコスプレやら売り子やら逆ナンをして現実から逃避しておる。今どきオタクイベントを現実逃避の分かりやすい例として挙げるのもどうかと思うが、まあ、現実から逃避しておるわけです。ここには不妊症による、ないし自分の過去の惨憺による挫折がある。

 一方、あんずに逆ナンされて「むらまさ様」というアニメキャラと同一視され、人妻であるあんずと情事を重ねるようになった高校生、卓巳は、インターネット監視社会というシステムと、それに便乗した悪意により人生もう終わりかというくらいの恥を晒し、引きこもり、立ち上がれなくなる。が、ここには挫折が無い。あんずとの情事は惰性であり、学校で同級生に告白されたことにより卓巳はあんずとの関係を終わらせようとしていた。この文脈上に「挫折」という文字は戴けるものではない。

 助産師は「こんな所で産むよりも病院に頼めば良かった!」となじられても自然分娩を良しとし挫けず、認知症の祖母と人間の屑みたいなあばずれ母を抱える少年は、それでも強く生きていく~みたいな立志伝中の人みたいに描かれ、作中のイコンたる赤ん坊は、これから訪う人生の苦しみをまだ知らない。

 挫折があろうが無かろうが、良心に基いていようが性悪説を奉っていようが、人それぞれの人生があって、それぞれの苦しみや痛み、そしてほんの少しの救いがある。

 だが、その「人それぞれ」を権門とした同一規格に、本作のいびつさがある。

 不幸な人々を同じ壺に落とし込んで、関係性を築けというのは、これは太古より伝わる蠱術という呪いのひとつで、壺の中で喰らいあって生き延びた最後の毒蟲は、すさまじい毒性を持つ。みんな辛いんだから支えあいましょう、というお仕着せの綺麗事は、別離、暴力、言辞などにより種々否定されておる。が、それぞれがそれぞれの道を歩み出すラストにどこか希望めいたものを感じてしまうのは良心的な観方に過ぎるだろうか。手持ちのカードがブタであっても生きていかねばならぬという呪い。新生児の出産シーンにはそうした呪いをも感じるが、まあ、痛みが人それぞれなのと同様に、喜びも人それぞれなのであろうから。


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