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『ダークナイト ライジング』 そして伝説が、壮絶に、終わった


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ダークナイト ライジング
THE DARK KNIGHT RISES
2012/アメリカ 監督:クリストファー・ノーラン 出演:クリスチャン・ベイル他


 極力ネタバレは控えておりますが、作品の内容に触れている部分もあるので、というか結構触れているので、神経質な方は本作ご鑑賞後に本稿を読んでいただけると有難いです。

 冒頭、スペキュタキュルあっ噛んだ、すみません、わたし滑舌が悪いのでね。で、冒頭、スペクタクルに富んだ、あっこれは「富んだ」と「飛んだ」をかけているのですけどね、ハイジャックシーンを観てですな、わたしは悲憤慷慨し、両掌で顔を覆うと、訳の分からぬことを喚き散らしながら座椅子の背もたれにがんがん後頭部を打ち付けた。何ということが起きてしまったのだ。わたしは今何を目の当たりにしているのだ。これは、これでは、これだと、このまま行くと、まんま、『バットマン ビギンズ』そして『ダークナイト』のプロットをなぞることに終始してしまうのではなかろうか。冒頭で何か起きる、OK(親指と人差し指で輪っかを作りながら)、掴みはばっちし、この冒頭のスペキュタキュルに込められた掴みと暗喩が理解できない莫迦は置いてくよ、はは、この頓馬が。という、被害妄想的な被虐妄想的な偏頗な思いで脳内にわかにかき曇り、ラーズ・アル・グールやジョーカーのまぼろしがとたたたっ、て、頭の中を走り回るのである。

 わたしは、クリストファー・ノーラン謹製新生バットマンシリーズ最終章、『ダークナイト ライジング』を観に来ているはずなのに。

 裃袴をぞろ着込み、四方膳を配し、我がこころの迷いを断ち切るべくヤッと机を斬り、わたしはこの日の先行上映に備えたのである。である、が、わたしは偏狭な党生活者ではなく、かと言って古代アテネの賢王が如き格得も持ち合わせておらぬので、ちょっとここには書けないような態度と服装でのらくら映画館に向かったのだが、そんな乃公を惑乱の淵に突き落とし、けらけら嗤うような真似をしくさった『ダークナイト ライジング』。原題だと『THE DARK KNIGHT RISES』。暗闇の騎士が再起する、てな意味で、冒頭のスペキュタキュルシーンが「天空での出来事」であるとか、それから「落下」するだとか、頭を袋詰めにされた可哀想な被害者の正体が実は加害者であったことによる善悪の転換だとか、そんなこと言われなくたって分かっている。プロットが前作『ダークナイト』とほんのり似ているだとか、そんなこともいちいち言われなくたって分かっている。然しくして、言われなくたって分かっていることを説明するのは峨々たる剣山を登るが如き行為で、1歩足を踏み外すと転落し、奈落の底へと転がり落ちていく可能性も否定はできない。

 奈落。

 本作では、地上、地下、天空とめまぐるしく場面が置き換わり、それぞれが前作、前々作を想起しないといけないように痛みを伴って提示される。痛みがリアリティの証だというのもやや手垢にまみれた感があるし、ラスト、ゴッサムに現れたあるイコンを以ってバットマンを主体とした正義の復権としているのも安易な気がするが、『ダークナイト』よりはベタな王道を踏襲した本作に対しそうした些少なものを論うのは本意ではない。むしろ、地上から地下へ、地下から天空へといった展開が、空間的な意味のみならず観念的/概念的な意味で提示されていることこそが本作の特徴ならび歪さだと感じる。

 本作では、「地上」で傷ついたバットマンが、世界の果てにある奈落という「地下」に放り込まれ、再起し、「天空」へと昇り詰める。先に述べたように、ここはそれぞれ、『バットマン ビギンズ』でラーズ一派を退け闘い続けることを決意したバットマンと、『ダークナイト』にて自ら罪を被ることで(紛い物ではあるが)光を際立たせ暗闇に去っていったバットマン、そして、本作で日光のもとに復活した正義としてのバットマン、それぞれに呼応している。かように書くとバットマンの一人称で三幕が構成されておるように思えるが、実はこれは記号的に配されたクリストファー・ノーランの一人称の物語で、つまりバットマンは上から見た三人称的な存在なのである。これが『ダークナイト』のジョーカーの一人称に酔っていた人間を正気付かせ、俯瞰的に作品を観るように矯正した歪さの正体だと思われる。端的に言うと、『ダークナイト』に心酔していた人間が本作を観て、「何か普通でござるな?」と言うのは製作陣に想定されていたわけ。

 ノーランの一人称は記号的と書いたが、教科書通りのかっちりとした記号を配することは悪ではない。ベインが競技場に現れるシーンに象徴的であるが、美少年が歌うアメリカ国歌が流れる中、唐突に起こるテロ、爆破。そして巻き起こる混沌に、今回のヴィランであるベインが新秩序を築く様子。この一連の流れに、国家主義へのテロとその波及被害を見取るのは難しくない。そこでベインがとある原稿を読み上げ、真実、事実がゴッサム・シティ住民に周知されたのは皮肉な話であるが、一応、この原稿はゴードンが書いたものだから、という言い訳が成立しており、こういう神経症的な気の使い方はノーランの記号配置ならではだろう。

 しかし多重尋問を受けているような感じがする映画である。『THE DARK KNIGHT RISES』。バットマンは復活しますか? と訊かれても、まずは「復活とは何か」を定義せねばならぬ以上は本作に対する答えは決まっているし、復活しないならしないでどうせ「金返せ!」とか言い出すんでしょう観客は。莫迦。てなもので、ある意味我らは約束された物語を観に行ったことになる。『ダークナイト』に法悦つまり宗教的な恍惚を感じていた人がにやにや観に行って、脚本の穴、構成の稚拙さを突っつく様子も映画の賑わいというものだが、理路整然とした形式丈よりも正義の概念まずありきで撮られた本作は、封建思想的でもある。あとこれはごく個人的な感想であるが、「奈落」の回想シーンに於いて、とある映像叙述トリックが施されていたことに「おおっ」となった。

 そんな正義の王政復古ありきだから、今回はゴッサムの住人に顔が無い。個人、民衆、という単位ではなく、都市単位つまりゴッサム・シティそのものに人格が与えられており、ブルース・ウェインがバットマンに変身する理由もまるで恋焦がれたように「ゴッサムを守りたいから」で説明される。そのゴッサムの内情が金持ちと権力者VS貧困層と囚人というのも何やら政治めいて見えなくもないが、こうした部分を深く考えると、やはりバットマンが復活した理由や、ベイン一派がテロを行なう理由の輪郭が不明瞭に思えて釈然としない気持ちになるのであろうな。前作で決断と選択を描き過ぎたせいか、本作ではそこのところは然程重視されていない。いや決断のシーンはあるにはあるのだが、今回はそれが軽すぎて(おまけに理屈が通らないところもあって)決断よりもアン・ハサウェイ演じるキャットウーマンのケツや腰のくびれにばかり目が逝って、じゃなかった、行ってしまうのである。

 最後に、本作に関して『バットマン ビギンズ』を観ておかないと楽しめない、といった言説を多々見かけたが、ビギンズ程度の内容は一応パンフレットで補完できるので、むしろ細々した伏線の回収を楽しむため『ダークナイト』を復習しておいた方がいいのでは、と思わなくもないが、まあそれすら観なくても、一応単品として鑑賞に値する強度は備えた作品だと思う。あととあるシーンのネタバレが喧しい本作ではあるが、そのシーンが表紙となった原作が、売り場に何冊も何冊も置かれていたことと、最後の最後にものすごいサプライズがあったことを記して本稿は終わりと致します。


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20120808 15:46 │ from 世界はあなたのもの。

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