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『ポテチ』 人生に於ける、奇跡のホームラン - 1953ColdSummer

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『ポテチ』 人生に於ける、奇跡のホームラン


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ポテチ
2012/日本 G 監督:中村義洋 原作:伊坂幸太郎 『ポテチ』


 馬鈴薯をば、こう、薄ーく切って、ですな、油で揚げて、塩やらコンソメやらをまぶして、袋詰めにしたものをこれ購入、欠片がぽろぽろ落ちるのも気にせず歩き食い、或いはカウチに寝っ転がってぽりぽり食い、油まみれになった手を服になすくり付け、なんてことを繰り返していると馬鹿に、じゃなかった、アメリカ人みたいになってしまうよというのは『26世紀青年』が警鐘を鳴らしている通りなのであるが、そんな LIFE STYLE 僕は嫌いじゃないな。カジュアリティ、って言うのかな、人中にて欠伸仕る、って言うのかな、糞酸っぱいワインをちびちびやりながらクラッシックの薀蓄を披露するよりも、ポテチをぽりぽりやりながら画面におかまが出てきたら「おかまだ~」き◯がいが出てきたら「きち◯いだ~」とへらへら笑っておる方が楽であるし、他者への気遣いというものもこれ無用になって、自分の、自分による、自分のための原始的なリラクゼーションが完成するのである。

 しかし、己が思想、己が行為を確認、実証されるに至るには第三者の判断を仰がねばならぬというのが民主主義の頭の痛いところで、例えば、客人が訪った折にカウチポテトで「あーい」などと応ずるとこの人は阿呆なのではなかろうかと懸念される恐れもあり、下手を打てば、その後の付き合いを遠慮され、生くるを享楽するに当たり多大なる障碍となるのではあるまいかということを考えたが、でも、まあ、要するに、客人が訪った折にカウチポテトで「あーい」などと応じなければいいだけの話であって、家に1人で居る分には、ポテチを鼻に詰めようが、それを飛ばそうが、自由闊達にしておっても非難されるべき謂われは無いと思われる。

 こうした人文的な問題をポテチを齧るようにさくっと、性善性と恋闕、カルマと別離を過度に峻別することをせずつらつら書けるのが伊坂幸太郎という作家の強みであって、映画化された(そしてわたしのゼロ年代ベストにも食い込んだ)『アヒルと鴨のコインロッカー』には非常に感銘を受けたものである。続いて『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』などを読み、観るに、伊坂幸太郎原作に中村義洋監督、濱田岳という組み合わせは、畏み畏み申し上げれば横溝正史×市川崑にも比肩する現代邦画の鉄板なのではなかろうか、という思いを強めていったのである。

 その伊坂幸太郎、中村義洋、濱田岳がまたまたトリオを組み、歌い、踊ったかどうかは寡聞にして存じ上げませぬが、まあその3人で作り上げた新作、『ポテチ』を観に行った。観に行かずばなるまい。これを観ねば末代までの恥、腹を切っても切っても示しが付かぬわいっ、と、いったい誰に示しが付かないのかはよく分からないが、まあ、そんな気持ちで。

 空き巣を生業とするカップルが、職業野球の選手、尾崎の家でたまたま受けてしまった電話から発生するおかしな物語。軽めながらミステリ的なフックも効いており、ド外道(というほどでもなかったが)や洒脱な会話劇といったいつもの伊坂ガジェットにも一安心。68分というタイトな上映時間すら意に介させぬほどの起承転結に、あと、重大なネタバレであると個人的には思うので具体的なシーンは伏せておくが、東日本大震災にまつわる「震災映画」としての一面も持っておる。最も『ヒミズ』(自分の感想はこちら)ほど露骨な描写ではないので、神経質な人もさほど湧いてこないのでは、と感じる。

 一見、関係の無さそうな面々が奇妙な縁で繋がれていくという語り口は伊坂作品お馴染みのモチーフで、本作も例に漏れず運命的なチェインにハッとさせられる……のだが、そこはある意味予定調和的なものもあって、茫洋とした言葉で言えばベタである。然しく、ベタであるからこそベタなりの感動が最後にあり、200人を動員したというエキストラが一体となってワッとなるその瞬間は正しく映画の魔法。たった8日間で撮影された本作がこうした力を持つことに、何か不思議な感動を覚えましたね。


フィッシュストーリー (新潮文庫)フィッシュストーリー (新潮文庫)
伊坂 幸太郎

死神の精度 (文春文庫) ラッシュライフ (新潮文庫) 陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫) 終末のフール (集英社文庫) グラスホッパー (角川文庫)

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