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『アナザー プラネット』 あの地球にはもう1人の自分が - 1953ColdSummer

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『アナザー プラネット』 あの地球にはもう1人の自分が


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アナザー プラネット 
ANOTHER EARTH
2011/アメリカ <未> 監督:マイク・ケイヒル


 贖罪。これ即ち罪を贖い、償うことであって、罪を犯したからには贖罪をせんければならなく、これをしない人間は鬼畜、或いは外道などと蔑まれ、社会的に抹殺されるのであり、社会的に抹殺されるとどうなるかというと、血縁者には離縁され、知己には鹿十を決め込まれ、知らん人からは石もて追われるのである。無論、そんな状態に陥ると生活に困窮し、終いには自ら縊れねばならんくなるのは自明の理であって、おそろしい、おそろしい、そんな目には会いたくないっ、と、ふるふる震え、わたしは、贖罪をして生きようと決心したのである。以来わたしは、ものの弾みで首をもいでしまった水子地蔵に贖罪をし、門前で追い返した訪問販売に贖罪をし、畜肉をつつくたびに贖罪をしておるのであるが、はは、人として生きてきてこれだけ贖罪をせねばならぬのにはほとほと参ったよ。人間の原罪の重さの一端を感じたよ。

 さて日常生活に於いてですらこれだけ贖罪をせんければならぬのに、大ポカをやらかしてしまった人間の贖罪などを考えると、胴声を張り上げて絶叫したくなる。就中、人を殺してしまったり、人を殺めてしまったり、人を死に追いしめた人間の贖罪なんてのは、最早わたしの考えの及ぶようなレベルに非ず、そして考えの及ばないことを恥じて、わたしはまた贖罪をした。
 
 一例を挙げると、マサチューセッツ工科大学に入学が決まった天文マニアの美人、名をローダというのだが、これが人生ちょろいことに天狗になり、ちょちょっと飲酒運転で車を転がしておったら、見事によその家族連れの車にクラッシュ。父親以外を死に至らしめてしまうという悲劇に見舞われて、じゃなくて、見舞わせてしまったのである。

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 で、まあ、そんな大事故をやらかしてしまった以上は贖罪をせんければ人として道に外れるというものであって、贖罪の第一歩としてローダは交通刑務所に放り込まれ、進学もお釈迦になり、家族ともぎすぎすした様子になってしまって、出所してもちくとも面白くない。なるべく人と会いたくないからと高校の清掃の職に就くも、彼女はまだまだ贖罪が足りない。やがて意を決し、ローダは事故で生き残った父親の元に赴くが、中々「私が犯人です」とは言い出せず……なんて状況を嘲笑うように、世間ではあるニュースに大事になっていた。月の隣にもうひとつの地球が出現し、コンタクトを図ってみたところ、あの地球とこの地球はシンクロしておる、即ち、同じ人間が同じ人生を歩んでおるという結果が出たのである。

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 青を基調とした画作りに、手持ちカメラによる繊細なカメラワーク。だが、それが主人公ローダの贖罪を規定するものではないというところがとても良い。突っ込み所は多々あれど、脚本の力によってきっちり、かっちりとドラマが構成されておるその様子はさながら珠玉の小品。画と、話と、美しさ切なさを両立させるなんてことは中々に……え? もうひとつの、地球、ですか? これはマクガフィンですよ。ドラマを紡ぐため、そしてラストにびっくりさせるための道具立て。もうひとつの「反地球」に比重を置いた硬派なSFではないので、それを期待して本稿をここまで読み進めて下さった諸賢に一応贖罪をしておく。

 予期せず加害者となってしまった人間と、予期せず家族を失ってしまった人間の再生を、ぺろんと美しく、つるっと切なく、奇を衒うでもなく描いておる映画で、加害者被害者から、家族、同僚、それらに対する距離感の取り方を見るに、ははーん、こやつめ、相当こなれておるなっ、と、にやにやしてしまうのが映画見の辛いところで、もうひとつの地球、原題でもある ANOTHER EARTH に、もう1人の自分、今いちどの人生、夢見の対象、などを盛り込んだその手腕に、小唄を唄いたくなり、踊りを踊りたくなり、気が付けば、日常のチャチな贖罪なんてどうでもよくなっていたよ。ただローダさんはクライマックス、自分なりの贖罪を完成させるんだけどね。

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 先にもうひとつの地球をマクガフィンであると書いたが、天文マニアの憧れとして、罪を背負った人間の逃避場所としてこれだけ綺麗に話を収束させる小道具は白眉であると感じる。もうこれから辻褄の合わない映画には全部もうひとつの地球を出すべきだし、辻褄が合っている映画にも全部もうひとつの地球を出すべきである。冗談言わっしゃい、おう言いますとも、それほどに、直接的に内部描写をされぬこのもうひとつの地球は、優秀な物語装置として作劇に作用しておる。特筆すべきはラストシーン、もうひとつの地球を映していないにも関わらず、ああ、もうひとつの地球が……! と、ビックリさせる演出は本当に本当に本当に素晴らしい。

 最後になるが、トリビアルな部分でも、おおっ、或いは、あわわっ、なんて驚くべきところもあって、家族を失った父親役のウィリアム・メイポーザーは、何とトム・クルーズの従兄弟であるとのこと(notld_1968さん情報)。はっはーん、道理で似て……似ていないな……。
 結局、劇場公開されずビデオスルーとなった本作であるが、日々の贖罪に疲れたあなた、これから贖罪をしようと思っておるあなた、贖罪何それって猿回し、こうした人たちは少しでも人生の純度そして贅沢さをアップさせんがためこれを観てみるのもよろしいのではなかろうか。


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