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『戦火の馬』 幾多の死をその眼に映し、戦場を駆ける - 1953ColdSummer

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『戦火の馬』 幾多の死をその眼に映し、戦場を駆ける

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戦火の馬
WAR HORSE
2012/アメリカ G 監督:スティーヴン・スピルバーグ 原作:マイケル・モーパーゴ 『戦火の馬』


 あまり長距離を歩くことが無いので、たまにひらひらと長距離を歩くと足の裏にマメが出来、ふくらはぎはぱんぱんに張り、膝はがくがくと震え、酷使された大腿部は絶叫するのである。
 ロングウォークによって、かかるアナーキズムに両脚が支配せしめられた場合、マッサージ、湯治などにより健康と調和を取り戻せらる可能性もあるのだが、そもそも長歩きをしなければかかるアナーキズムに両脚が支配されることも無いのであって、やはりここは根源的な解決、即ち、長歩きをしない、という決意を新たにする必要がある。
 幸い、この御国では車両を買う自由があり、道端で腐っておるタクシーに乗り込んで「レッツゴー」と言えば走りだすのであり、駅のホームに電車が来れば乗り込んで目的地に行けるし、電車が来たタイミングを見計らって線路に飛び込めば別の目的地に逝くことも可能である。
 わたしはここに、「日本長歩きしない宣言」を提唱したい。けったくその悪いロングウォークに反吐を吐き、あらゆる交通網を通じて自由闊達に移動を行なおうという、極めて利便的、近代的なプロトコルを用いれば人間の両脚は守られるのである。

 さてこうした宣言をした以上、長歩きをせず両脚を守るに当たり必要なものがある。
 それは当たり前と言えば当たり前なのだが、乗り物である。わたしは乗り物、出来るならば、馬が欲しい。

 馬は太古から連綿と愛されてきた由緒正しい乗り物で、まず、気品があるし、街中をちょっくらパカランパカランと行けば、ポルシェやフェラーリよりも目立つことは請け合いであるし、鵯越の逆落とし、なんて実例からも分かるように、割と悪路にも強いのである。嘘だと思うのならば、現在絶賛公開中、スピルバーグの『戦火の馬』を御覧なさい。悪路どころか戦場を駆け、翻弄される運命の中をも駆け抜けた馬の物語である。

 とは言い条、当初は舞台でありスピルバーグが映画化を決意したというこの物語は非常にベタで、スピ公の新作、ということで閾値が高くなり過ぎておったせいか、予想を超える情動を受けることはなく、これをベタ故に、と受け取るか、物足りない、と受け取るかでずいぶんと作品自体の特徴線が違って見えるのであろうなあ、と思う。
 数奇な運命から飼い主のもとから引き離され、軍馬として戦場でこき使われ、色々あって旅してゴールに着いてどっとはらい、というお話。この概要から、馬が行く先々で様々な人間とヒュウマニズムを発揮する、という作劇は容易に察せられるであろう。事実、行く先々で様々な人間とヒュウマニズムを発揮する映画であり、また喋ることが出来ないジョーイという馬に振りかかる労苦、受難といったものを描いており、誰とは言わんが、歩くのが嫌だから馬に乗りたいなどとワールドワイドウェッブを通じて全世界に発信しておる人間は頭を丸めて反省した方がよろしかろう。

 背景となるのは第一次世界大戦下の戦場ならび市井であるので、大雑把な枠組みでは戦争映画ということになるのであろうか。前半の牧歌的、かつ詩情あふれる馬と人の交流と、後半の爆音が鳴り止まない戦場の描写。ここで「戦争はダメだよ」と戒めることをせず、重なる死体の山などを映すところにスピルバーグの小児病的な遊び心、悪く言えば露悪があって、これはもうスピ公の手癖なので、スピルバーグの映画を観に行ったらスピルバーグの手癖が嫌だった、なんて阿呆みたいな感想はグッと飲み込んで堪能するのが、お互いにとって幸せというものである。
 個人的にはスピ公の露悪、主に暴力描写は三度の飯くらいには好きなのだが、本作であひゃっ、或いはおひょっ、と声をあげて感動したのは、巨大な鉄の塊みたいな戦車がゴロゴロゴロと馬を押し潰すべく迫ってくるシーンである。操縦者の姿は一切映さないのに、視点は操縦者の主観ショットで、ここにわたしは『激突!』を撮ったころの青年スピルバーグの姿を見ましたね。

 しかし、どうぶつ、しかも優しい目をしたお馬さんにかかる試練を与えるという物語はやはり心情的にきついものがある。今を生きるお馬さんたちはたいがい戦争など経験せずにその生を全うできるはずなのだ。にも関わらず、農耕馬かと思ったらサラブレッドだったといってなじられ、軍馬としてきつい訓練をされ、友人というか友馬の死をその目で見るという、こういう山中鹿之介みたいな七難八苦を与えられるお馬さんは何か悪いことをしたんですか、ねえ、どうなの、アンタ! と声も大きくなろうというものである。ちなみにこの映画は動物愛護団体員監視のもとで撮られており、ちょっとでも馬が嫌そうな素振りを見せたら即座に撮影をストップさせられる権限を与えられておったそうな。

 馬と人との関わりが主題ではあるが、その主題が踏んでいるのは間接的な「死」の文脈である。マイナスからプラスに跳ね上げんが如く、死(別離によるマイナス)から関わり(出会いによるプラス)に物語を跳ね上げ続けることにより、本作は手堅い感動を約束されている。その符号は洗練されたものであるし、水準としては大衆的なものである。全編英語であったことも、大衆性を得るのに一役買っているのだろう。このベタ/王道をどう咀嚼するか。いまだに自分の中で咀嚼し切れていない感も否めないが、ここでいったん筆を置くことにする。


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コメント
非公開コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

20120407 16:06 │ from 履歴書の添え状URL

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