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『GOMORRA ゴモラ』 現代に遺る退廃と悪徳の都 - 1953ColdSummer

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『GOMORRA ゴモラ』 現代に遺る退廃と悪徳の都

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GOMORRA ゴモラ
GOMORRA
2011/イタリア 監督:マッテオ・ガローネ 原作:ロベルト・サヴィアーノ 『死都ゴモラ』


 もはや旧聞に属するお話かも知れないが、角力が裏社会とズブズブであった、なんてニュースが世間を賑やかしておった時分、はは、何を今さら、と、ニヒルに構えておった向きが結構な数、居った気がする。
 傍から見てもバレバレなものはバレバレで、本当、何を今さら八九三じゃ八百長じゃとほたえとんねん、というような事象/事実は往々として存在する。だが、世の中に拗ねた人間が肩で風切って歩きてなぁと堕落するのと、もう、日常生活単位から国際資本単位にまで広く根を張る犯罪組織に貢献するのとはかなり位相が異なっており、悪い冗談のような事実が我々平和な日本の民を慄然とさせたりするのだ。ニューヨークの世界貿易センタービル再建の株式を、イタリア4大犯罪組織のひとつである『カモッラ』が買っていたり、とか、ね。

『カモッラ』は、イタリアはナポリに本拠を置く犯罪組織であり、要するに新興マフィアなのだが、実は、だね、「マフィア」というのは、シチリア島で結成されたシチリア・マフィアのことを、厳密には指すわけ。彼らが自分たちのことを「コーザ・ノストラ」と呼ぶ、というのは有名な話ですね。だからコーザ・ノストラ以外の犯罪組織を「マフィア」とは普通は呼ばないのである。ほらまたひとつ賢くなったでしょう。
『カモッラ』以外のイタリア系犯罪組織には、カラブリアの『ヌドランゲタ』やアプーリャの『NSCU』などがあり、『カモッラ』の特色としては、構成員(カモリスタ)になるための入会儀式が執り行われることや、130団体、6300人以上の構成員が所属することが挙げられる。武器の密輸入から、アパレルや観光事業にまで携わる『カモッラ』は、クラウディア・カルディナーレ主演の『暗黒街の紋章/マフィアに血は生きる』を筆頭に、幾度か映画化もされておる。

 そんな『カモッラ』に、半分は劇映画、半分は重量級の社会派ドキュメントとして取り組んだ作品が、本作、『GOMORRA ゴモラ』である。オムニバスではなく、5つの物語をシャッフルし群像劇とした本作は、そのどれもが血と硝煙の匂いが漂い、暴力の香りがする。

 本作の原作『死都ゴモラ』を記し『カモッラ』の実情を暴露したロベルト・サヴィアーノは、『カモッラ』に命を狙われ、現在では警察監視下の24時間警備体制の中生活をしておる。
 そんな鳴り物入りの映画だが、本作の撮影に関しては、『カモッラ』は、自分たちの組織の宣伝になる、と、非常に協力的であったらしい。だが、非合法のブツの売買などがカメラに映ったりしては困るので、事前に撮影スケジュールなどを『カモッラ』に提出せねばならず、当然、ショバ代も払わされたらしいが、賄賂などは決して渡さなかった、と、本作のプロデューサーであるドメニコ・プロカッチは語る。

 イタリア映画、しかもマフィアもの、と聞いて、観光地の風光明媚や、『ゴッドファーザー』のような重厚な叙情を思い浮かべた向きもあるかも知れない。

 冗談言っちゃいけません。

 本作『GOMORRA ゴモラ』は、徹底したリアリズム、即物描写、銃声、血しぶき、死体、をモンタージュした映画であり、そこに文学性だの詩美性だのが介在する余地は無い。子供だろうが、老人だろうが、労働者だろうが、資本家だろうが、デブだろうが、ハゲだろうが、銃声が鳴り響いた次の瞬間、糞の詰まった血袋と化しているのだ。
 5つのエピソード、ストリート・ギャングや就活生、仕立屋などという市井たちを主人公に立てながらも、それらに容喙してくるのは常に金であり暴力だ。場所を問わずドンパチが行なわれ、「事業」とでも言うべきシノギの利権がややこしいことになったとき、確実に命のやり取りが起きる。そこに人間の尊厳などといった甘っちょろい言葉は無く、ただ、金、そして死体が転がるばかりなのである。血と金こそが、本作の、そして現実のナポリの象徴であり文脈である、と言わんばかりに。

 だが、これは現実の物語なのである。

 本作には、この「現実」の地獄絵図にジャッジメントを下そうとする意図は無いように思い受けられる。淡々と犯罪組織に毒された「日常」を描き、淡々と殺し、淡々と人間の悪性を描く。
バーダー・マインホフ 理想の果てに』(自分の感想はこちら)では淡々と映されたドイツの暗黒史を観たが、『GOMORRA ゴモラ』では、現在進行形の淡々とした暗黒を観ることができる。イタリアの風俗なんてものは文脈外なので映されず、また、見栄えのする光景も映されない。砂と血の匂いの小さな中東の果ての如き、そんな場面ばかりだ。

スカー・フェイス』に憧れたボンクラ2人組が火器を勝手に持ち出して、パンツ一丁で乱射して遊ぶシーンがある。
 不法入国の中国人たちを雇った違法稼働の縫製工場で、その仕事を優しく指導するシーンがある。
 爽快感の欠片も無い、陰湿な射殺シーンが冒頭からこれでもかと唐突にカットインされる。

 エンドロールでは、マッシヴ・アタックの『ヘルクラネウム』が流れ、何か得体の知れないものが迫ってくるような、安定感を奪われていくような、そんな不安な感覚を徹底して煽られる。そもそも、非職業俳優たちが演じたこの作品に、安定や安心は存在していたのだろうか。
 非現実的な現実。我々は現実の中に生きているが、その現実は、時として現実以上の残酷さ、醜悪さをもたらすのだ。


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