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悪人は殺していいの? いいに決まってるよ! 俺がそう決めた! 『スーパー!』 - 1953ColdSummer

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悪人は殺していいの? いいに決まってるよ! 俺がそう決めた! 『スーパー!』


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スーパー!
SUPER
2011/アメリカ R15+ 監督:ジェームズ・ガン


 映画館で映画を鑑賞するに際しては、財布をスられたとかでない限り必ずパンフレット、サブカルオシャレ野郎風に言うとプレスを買うようにしておるのだが、シネコン、特にサービス・デイのときなぞは、売り場にちょっとした行列が出来ておったりして、これが中々に居心地が悪い。
 イライライラ。列が全然前に進まないなぁ、イライライラ。と、この六文字のオノマトペだけで、わたしがどんな気持ちで列に並んでいるか察していただけようというものだが、その、列が、全然、前に、進まぬ、理由として、やはり最も大きいのは、レジでのやり取りが遅い、トロい、鈍臭い、これに尽きると思われる。
 レジの前まで来てからどの映画のパンフレットを買うか考え出す者、不器用な手付きでこれまた不器用に小銭をひとつひとつ取り出し始める者、後ろの行列を考慮することをせず、売り子と談笑を始める者……。

 ああ、殺人許可証ってどこに行けばもらえるのであろうか。

 この季節は熱燗と関東炊きだけが楽しみ、といった趣の老人が、レジで「パァンフレッッットをくだしゃんせぇ~」などと菩薩のような顔をして言う。どのパァンフレッッットなのかが分からない売り子が「どのパァンフレッッットですか?」と問う。老人は「パァンフレッッットに決まっておるじゃろがぁ~!」と阿修羅のような顔をしてほたえる。

 そんなやり取りを眼前にし、散々待たされた挙句、疲れ果て、自白剤投与直後のような声でわたしは「……◯◯のパンフレットください……」と告げ、金銭と引き換えにこれを手に入れる。
 映画を観る以前の、パンフレット購入に関してだけでも人間はこれだけの不条理に晒される。不条理に晒されると人間はどうなるか。『フォーリング・ダウン』なんかを観ても明らかであるように、破壊衝動に突き動かされて取り返しのつかぬ暴力に身を委ねてしまうのである。

 元シャブ中だった妻(不条理)を、シャブのディーラー(不条理)に、寝盗られ(不条理)てしまった男の飽くなき、でも市井視点のチンケな暴走。警察も、人倫も、何にもアテにならないのならば自分でやるしかない。何故なら自分はアメコミアニメ『ホーリー・アベンジャー』を観て神の啓示を受けたのだから! あっ神様がアテになっているじゃん! はは、じゃ、一丁、神様にあやかって、街のダニどもを誅戮いたしまするか!
 と、くたびれたおっさんが赤い全身タイツを身にまとう映画が本作、『スーパー!』である。

 ケヴィン・ベーコンにレイン・ウィルソンが立ち向かう構図になっておるのだね。と、まあ、そこは別に暗喩とか意図的なものとかを感じはしないのだが、他にリヴ・タイラーやエレン・ペイジなど、兎角キャストが、何と言うか、映画館で必ずパンフレットを買う人間的には豪華なのである。監督兼脚本は『スリザー』のジェームズ・ガン。なので、人体破壊描写にも気迫、烈帛の如きものが炸裂しており、最低限でレンチで人間をボコ殴りにする、最高限で人間の頭が半分吹っ飛ぶ、などの、サービス描写が満載で、ぼくはえらく感動したな。五十五年体制が崩壊し、米国にテーペーペーを迫られ、末法の世相を呈すこの世界で、感動できるということは素晴らしいことだよ。

 で、世間一般で言うところの感動に唾吐いて成り立っているような本作なのだが、これは自警と私憤、日常と非日常、主観と客観、等々の二軸、その行間を読め、というメッセージが込められておるように感じたのだね。とは言い条、それは決してわたしが神様から毒電波を受けたのではなく、作中の神様から毒電波を受けた人つまり主人公クリムゾン・ボルト自身を媒体に、「コマとコマの間を読め」と言わしめておる。描かれていないシーンにだって(だからこそ)意味はある、と。
 ヴィジランテ・ヒーローものとしては『キック・アス』(自分の感想はこちら)が記憶に新しいし事実これと比較されることも多かろうとは思うが、実は『キック・アス』が非常に具象的であるのに比べ、こちらは抽象的な趣が強いのだね。

 思い込み、私憤、宗教きちがいの厳父に躾けられたトラウマ、なんて、にゅるにゅるっとした、でもぐっちょりした、抽象的な感覚を原動力に暴力を振るい続けるクリムゾン・ボルト。その抽象にブレーキをかける役割が、サイドキックつまり相棒のリビーである。エレン・ペイジ扮するこの女性はコミック屋の店員でありながら、クリムゾン・ボルトの正体を知り、自らも変身したい戦いたい相棒にしてお願いお願いと押しかけてきて、結局クリムゾン・ボルトの相棒ボルティとして、その、何というか、人間を殴り殺そうとしたり、鉄の爪で切り刻んだり、上半身ブラジャー1枚のまま車で轢いたりと、狂態の限りを尽くす。その様がもう人間としての理性のタガが吹っ飛んでおり、彼女の殺人行為を見たクリムゾン・ボルトは自省の境地に至ってしまう。具象的な純粋殺人行為が、抽象的なクリムゾン・ボルトのモヤモヤを押し留めたのだ。こうした点に本作の方途、考え様などの面白味がある。

 しかし、これは去年観ておったならば間違いなくベスト10入りするほどの傑作であった。

 手書き風のアニメや擬音が何度も挿入される。が、これはクリムゾン・ボルトことフランクの「ノリ」なのである。ノリだけでレンチで撲殺されるのではかなわないだろうとも思うが、ノリノリになっている本人にとって世界はそう見えているのだから仕方が無い。徳の高い僧侶などでもない限り、恍惚の人を諭すのは難しいのだ。
「シャラップ・クライム!」その一言で、自分と自分の行為、存在を肯定しようとする。客観的に観ればそれはとてもかわいそうで、惨めったらしいものだ。だが、叫んでいる本人にとってそれは蜘蛛の糸なのであり、ひとつの魔法の言葉なのだ。

 変身願望も、自警の名を借りた暴力行為も、「シャラップ・クライム!」のキメ台詞も、すべてが惨めったらしい現実からの逃避である……のは間違いない。間違いないのだが、クリムゾン・ボルトがフランクへと戻り、最後に帰った場所を鑑みるに、世知辛さ以外にも世界には抽象的な何かがある。コマとコマの間がある。そう思えて仕方がないのだ。


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