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どうしようもない僕の家にメタル野郎がやってきた 『メタルヘッド』 - 1953ColdSummer

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どうしようもない僕の家にメタル野郎がやってきた 『メタルヘッド』


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メタルヘッド 
HESHER
2011/アメリカ 監督:スペンサー・サッサー


「あ~ドラえもんが欲しいなあ」とつぶやいてみたり、また誰かがつぶやくのを聞いたことがある人は結構居ると思われる。
 ここでポイントになるのは、「ドラえもんが『欲しい』」という所有欲/独占欲は、その四次元ポケットから取り出される便利な道具の数々と紐付けされておるものであって、決してドラえもんと友情を育みたいとか、ドラえもんと熱燗をちびちびやりながら人生論を闘わせたいとか、ドラえもんと添い遂げる覚悟であるとか、そうした位相の欲求ではない、ということである。
 要するに、どいつもこいつもドラ公が出す便利な道具でワガの私欲を満たしたいがためだけに、「あ~ドラえもんが欲しいなあ」などと抜かしくさっていやがるのである。

 で、まあ、ドラえもんの出すひみつ道具で便利と楽の渦潮となったのび太少年の姿などは大多数の人間が知っているであろうから割愛して、さて、ここで、ひみつ道具を出さないドラえもんを想定してみよう。他人の家に居候をし、三食のみならずおやつのドラ焼きまでをも厚かましく要求し、明らかに学習障害があるのび太少年に対し冷徹かつ残酷な言葉を吐き、ねずみが出ては大人げなく騒ぎ立てる。
 どうだろう。ひみつ道具を出さないだけでドラえもんという存在は煩でしかなくなるのだ。

 そうしたひみつ道具を出さないドラえもん的な存在、おまけにメタル野郎であるヘッシャーさんが父子家庭に居候をする話、『メタルヘッド』を観た。

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 だが、少しく待っていただきたい。本作に於いて、のび太少年的なポジションを占めるのはTJという少年なのだが、これがのび太少年と酷く反駁する性格で、いじめられたらやり返すわ、父親には過激に反抗するわ、挙句、官憲に指紋と顔写真を撮られるわで、意中の人の入浴姿をいやらしく覗きに行くのび太少年とは大分して違うのである。ちゃんと意中の人には自分から積極的にアプローチをかける、大人びた少年なのである。

 えっ、じゃあ、何でそんな溌剌とした少年のところにヘッシャーさんがドラえもんの如くしてやってくるの? と思われる向きも多かろう。実はだね、TJ少年が大人びている(背伸びしている)のには理由があって、少年の家は、母親を事故で亡くしたことから、家庭崩壊に近しくして沈みきっておるのである。カウンセリング通いの父親は鬱病を患っており、祖母はそんな父子を心配するが余りの心労で体調を崩しており、TJ少年は少年で、やはり学校でイジメを受けておる。

 そんなある日、小汚いポンコツのバンにメタルをズドドド響かせながらヘッシャーさんがやってくる。そして、我が物かのように家中を歩きまわり、勝手に洗濯をし、カウチで煙草を吹かしながらテレビのリモコンをガチャガチャやる。

 メタル野郎がやってくるからにはもっと破天荒な物語を期待しておったのだが、はは、本作は全体的にオフビートで、いや、ヘッシャーがやっていることは、車を炎上させたり知らん人の家のプールに物を放り込みまくったりとプッツンの行動そのものなのだが、それらの行動に至る文脈上に、TJ少年やTJ少年が密かに想っているレジ打ちのフリーター(ナタリー・ポートマン!)への気遣い、優しさというものが見て取れて、メタルに特有の悪魔主義的な享楽はそこには無いのである。唐突に現れて、唐突に周囲に受け入れられるその様は悪魔じみているというよりも、長髪に痩身というスタイルと相まって、これは明らかにキリストのイメージが重ねられているのだろうと思う。

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 実際、ヘッシャーが神であったのか悪魔であったのか、何者だったのかは最後まで明言はされない。されないが、エンドクレジットのイラストや、ラストシーンの余韻からして想像することはできる。同様に、即物的、唯物的な描写も本作にはほとんど無く、言ってしまえば平坦、悪く言えば盛り上がりに欠けるところは確かにある。

 だが、その手の論点中心に議論をやって許されるのは70年代までで、これだけ価値観主観のたぐいが付加、多様化された現代に於いて、ワガの主観のみ以てしておめき散らすのはエゴイスティックの度がやや過ぎるとも思う。「面白くなかった」「お前が面白い所を見つけられなかっただけだろ」という遣り取りは、すでに歴史あるものとなっているのだ。

 ひみつ道具を出せないドラえもんは、物語上に於ける自分の存在価値をアピールするがために奇行に走らなくばいけない。そう、奇行に走るのはいい。いいのだが、その奇行は文脈上からかけ離れたものであってはいけない。その点、ヘッシャーさんの奇行はちゃんと文脈に沿い、やり過ぎないよう、目立ち過ぎないよう、過剰になり過ぎないよう、ある種の抑制を持ってして描かれる。そうした結果、『メタルヘッド』というキャンパスには、家族の再生譚が鮮やかに輝くことになる。

 わけのわからん居候があれこれしてくれるなんてちょっとしたイイ話は、映画では何回も繰り返されてきた。今回は、たまたまそれがメタル野郎だったということなのである。


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ヘッシャーの外見(モチーフ)はクリフ・バートンというベーシストから来ています

20111229 03:49 │ from URL

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