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『不屈の男 アンブロークン』 - 人を赦して、映画も許して - 1953ColdSummer

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『不屈の男 アンブロークン』 - 人を赦して、映画も許して


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屈の男 アンブロークン
UNBROKEN
2016(2015)/アメリカ/PG12 監督/アンジェリーナ・ジョリー 脚本/ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン/他 出演/ジャック・オコンネル/ドーナル・グリーソン/MIYAVI/ギャレット・ヘドランド/フィン・ウィットロック/他 原作/ローラ・ヒレンブランド/『不屈の男 アンブロークン』 
この精神(こころ)は、絶対に折れない。

※このエントリはネタバレを含み〼


 やいジャップ。 物足りん、物足りんわ……まるで……! というのは本作を観た健全な日本人が抱くごく普通の感想ですが、大ジャップランド帝国のチンピラによる、目を覆いたくなる凄惨なアメリカ人捕虜虐待のシーンがあるとか、いつも腹を空かせているジャップが外国人を食べるシーンがあるとか、事前に錯綜していた情報に期待に胸膨らませていざ観てみたらば、ジャップの蛮行の10000分の1も描かれていなかったので期待でくんくんになっていた自分が阿呆に思えましたね。ただ渡辺伍長を演じたMIYAVIはイイ仕事をしていた。“鳥(バード)”と仇名されるMIYAVI伍長はどこか耽美さを漂わせつつ、サディスティックにルイ・ザンペリーニ(ジャック・オコンネル)をいじめ抜く。そのうすら笑いや佇まいはまるで丸尾末広漫画に登場する軍人のようです。これでもっとえげつない事をやっていたら私もローションを用意して四つん這いになってMIYAVI様に尻を差し出す覚悟に御座いましたが、前述のごとくに捕虜虐待のやり様が生ぬるい。このくらいのいじめなら防●大学校戸●ヨットスクールに鼻で笑われてトン、ではないのでしょうか。これで「不屈の男」とか謳われてもアー、フィジカルエリートなんスね、とお茶を濁す事しかできない。「不屈」の二文字がのちの「赦し」にかかっているのは承知の上ですが、まあ、当事者にしか反芻できない地獄というものはあるわけで、脚本を書いたコーエン兄弟たちと監督のアンジーの想像力の限界と、商業映画に乗せられるギリギリのラインを手探りした結果がこの暴行だという事に納得は行っても、問題の食人シーンが無かったことには私は強く怒りを表明する。食人っていうか、「日本には魚を生で食う習慣がある」って台詞だけじゃねえか。漂流中の。それにも吃驚したけどサメがうじゃらうじゃら居る海で47日間も漂流して死人が一人で済んだのも吃驚ですよ! もう白鯨と闘っている場合じゃないですよ! 漂流していようがジャップから虐待されていようが乱れない髪型などを私にもご教授願いたいものです。あ今「乱れない髪型は『不屈』のメタファで」と書こうとするのをかろうじて留めました。そんなわけで、事前情報から応援していたこのアンブロークンも蓋を開けてみれば随分と想像と異なる映画だったというオチなのですが、まあ、本作は大まかに漂流パートと虐待パートに別れていて、その潔さに賛辞を贈る事は決して観客にとって恥にはなるまいと思うのですよ。日本兵の片言ニホンゴのボキャブラリがもう少し豊富であればもっと笑えたと思います。しかし最後に実在のルイ・ザンペリーニ氏が長野リレーで走る様子を映し出し、ダイジェスト風味で話を括るというのも語り口としてはアリだとは思いますが、自分を拷問した元日本兵たちに会ったとか、そこに渡辺伍長が現れる事はなかったとか、そんな事実……「赦し」で話を収束させるのではなく、そこに至る過程やそのシーンそのものの描写が殆ど無いのが、この映画を実際に観た上で批判している人たちの論拠になっているのかもと邪推してしまいます。赦しにすら背を向けた渡辺元伍長が何を考え、何に縋っていたかはもはや知る由もありませんが、作中で「見るなあああああ! 見るなあああああ!」と叫んでいた彼に向けられた視線や視線が語るものが彼なりに理解できていたとしたら、人間の業にも一抹の救いがあるのではという錯覚に陥りそうになりますね。


不屈の男 アンブロークン不屈の男 アンブロークン
ローラ・ヒレンブランド ラッセル秀子


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