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メイド・イン・チャイナの烙印 - 『鰻の男』 - 1953ColdSummer

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メイド・イン・チャイナの烙印 - 『鰻の男』


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の男
MADE IN CHINA
2015(2014)/韓国 監督/キム・ドンフ 脚本/キム・ギドク 出演/パク・ギウン/ハン・チェア/イム・ファヨン/他


 いや、「鰻(うなぎ)の男」とか言われてもなあ、と思っていたら、製作と脚本がキム・ギドクだったので観てみた。
 未見だが、『レッド・ファミリー』でプロデューサーを務めたキム・ドンフが今回はメガホンを執っており、それに続くギドクの脚本提供で、ドンフはギドクの弟子の一人なのだとか。
 
 台詞を極力削ぎ落とし、自国の暗部に鋭く言及するというスタイルはそのままなので、単なる名義貸しではなく本当にギドクが脚本を提供しているものとして話を進めるが、今回はメイド・イン・チャイナの食物に対する視点が人種差別と根を同じくする様を描いており、それに伴う暴力とメランコリー、言語の壁が、有害物質まみれの中国産鰻の再検査を求めて韓国に密入国してきた鰻養殖の息子と、廃棄されるはずの鰻を扱う悪徳業者との立場を取って劇的に提示される。

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 実はこの前やっすい鰻重を食べた事を思い出して思わず胃の辺りに手をやってしまうのは人情だが、丹田にグッと魄(はく)を込めて耐え忍ぶ100分間。相場英雄の名著『震える牛』にも通底する食卓の背景に色々と考え込むものはあったのだが、映画としては面白いのでそのジレンマがまた心地良い。

 水銀汚染された鰻たちが仲介し、浮き彫りにする中国と韓国の食事情と人間関係。そこには出稼ぎ労働者や朝鮮族、やくざ者に汚職当事者など様々なひと、にんげんが絡んでおり、その数少ない台詞のひとつひとつが、韓国という国が彼ら客体にどういう目線を遣っているかを端的に現している。鰻を持ち込んだ中国人、チェン(パク・ギウン)は「自分も汚染されているのか」と腕の肉をえぐり取り、検査を要求する。汚染されていた。ショックを受けるチェン。こうしたメイド・イン・チャイナへの不信を、片手落ちにならぬよう自国からの中国人差別も余すところ無く描き込むシニックがギドク一流の流儀である。「言語が違う」ただそれだけでチェンに浴びせられる罵倒と嫌味の数々。人間/人格に対して用いられる「メイド・イン・チャイナ」という言葉の暴力性。それでも鰻に明日を夢見るチェンは、ある暴挙に出るのだが。

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 鰻と中国人が有害物質に毒されているのなら、資本主義と拝金主義と差別主義に毒されている韓国人はどうなんだ。と、女性監視員や与太者を通してギドクは鋭く突き付ける。なんてことはない酒場でのゴタゴタから、一種の裏社会の取引に至るまでその批判姿勢は一貫しており、打ち捨てられ、轢き潰され、捌かれる鰻にチェンが「韓国内に於ける中国人」のまぼろしを視ていたのであろう事は想像に難くない。

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 ギドクは、「食物に対する偏見は、食物が作られた国に対する偏見でもあるのではないかと思います」と語っている。
 食の安全を求めるという事は自衛するという事でもあり、その意味では自分自身も食事に対してかなり保守的な部分もあって、中国産の食材を買うのに抵抗が無い、と言えば嘘になる。様々なニュースやネットの伝聞に振れ過ぎているからだ。がだけに、本作のチェンの最後の決意には無謀を感じ、同時に希望も感じたものだが、この映画の皮肉の刃は、その小さな感動をもバッサリと捌く。が、鰻は捌かれながらもうにょうにょと蠢き、泳ごうとする。それが活き活きとしているように見えるか、瀕死の体に見えるか、自分にふと問い掛けて。


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