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快楽の座 - 『メビウス』 - 1953ColdSummer

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快楽の座 - 『メビウス』


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ビウス
MOEBIUS
2014(2013)/韓国/R18+ 監督/キム・ギドク 出演/チョ・ジェヒョン/ソ・ヨンジュ/イ・ウヌ/他
人間の業が、廻(めぐ)る。


 韓国映画の自己言及性とそれに伴うクオリティ(主に見世物性)の高さを今更まくし立てるのは今更感が否めませんし、風流でもないのでまくし立てる事はしませんが、本作、『メビウス』にもそうした因果が含められてあったのかと問われれば、嫌な笑みを浮かべて顔をテカテカ光らせながら何度も首を縦に振らざるを得ないわけですが、まー今回も冒頭からギドクの猛毒が炸裂していて股間を押さえてヒエッとなってしまうんですな。いきなりチンコがちょん切られますから

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 というか劇中に台詞が一切ない、(上唇を噛みながら)プェニスが切り取られる、てな事は前情報として知っていたのですが、いざ目の当たりにしてみるとそこには一切合切の容赦が無かったと申しますかもう無言を強いられるしかなかったと申しますかナニが機能不全に陥りそうな程の男性性に対するテロリズムの萌芽があり、のち、一人二役で語られる「虐げられる女性性」のささやかな凱歌を聴く事ができる。が、先に言上しました通り局部切断が映画の導入部分にしか過ぎないところにキム・ギドクの勘所の働きを感じるわけで。

 不倫不貞に近親相姦、それ対する法の埒外の私刑である去勢などに、ギドクが現在関心を寄せている社会問題が何であるのか予想するのはそう難しい事ではないでしょう。一家の大黒柱の性欲によって絶望的に囲い込まれるいち家庭という単位、そこに理性をてこの原理で働かせてちょっとイイ感じの話に仕立て上げるのが映画を作る人の性善性ないし万人に訴えかける商業主義というものですが、そういうものに目もくれずワガの作家性を最優先するたいへんおもしろい監督というものは居て、その一柱がキム・ギドクである事は論を俟ちませんが、何でしょうか、この韓国社会を良く言えば創作の素材に、悪く言えばオモチャに手慰んでいるようなメタな視点からの映画作りは。数々の過去作に関しても常々感じていた事ですが、作中の韓国社会にはギドクが存在しているようには思えないのです。ひとつ上の階層から仙人めいて韓国という国を眺めているような。切り落とした魔羅をその場で咀嚼したり、父親の不倫相手がキッズに輪姦されるシーンなんかに如実ですが、自分が居る国を写実的に描くというよりも、現状を踏まえた上で敢えて戯画化しているようなメタ視点を毎回感じて仕方がないのです。

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 本作の作中の人間はケモノと同じで、言葉を発することをせずアッアーだのウワァーだのと咆哮するのみで、じゃあそれはエモいのかと言われますと別段感情的にも聞こえず、むしろ潤滑油のようにシークエンスを繋いでいます。これはまことに不思議な事で、ケモノが鳴き声で会話しているかのごとき「当たり前」を劇中で完成させてしまっている。呻き声や叫び声で意思疎通を図るのがリアリティ・ラインとして定義されている。そういう映画も多々ありますし、あったような気がするというのが正味の話ではありますが、冒頭、父に不倫相手からかかってきた電話を妻が叩き壊すシーンなどが、言葉による会話を否定する決定打として有効であった気もします。のち、色々あって、去勢された人間でも絶頂を得る方法として、ええ、色々あったんですよ、我らがインターネットで父はある方法を見つけるわけですが、その方法がアー私も足の甲を蚊に刺されて痒い時にもよくやりましたよ、てなものでいやそんな話はどうでもいいのですが、他人に教えてクレクレと言わず自分で、インターネットで検索するという行為がまた小さく囲い込まれた個人という単位、家族が崩壊してからの断絶の単位を示しているようで、発声によるコミットの否定に徹底したものを感じましたね。

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 ギドク一流のスラッシャー映画として本作を観る事も可能です。もちろんデフォルメされているとは言えリアリティラインを定義された現代社会の郊外が舞台ですから、派手に首が飛んだり身体を貫通するような事はありませんが、「痛み」の描写のエゲツみはギドク映画を観た事がある人なら容易に想像できるでしょう。擦り剥けた肌、肉体に突き立ってグチュグチュ音を立てる刃物、それらに賛辞を捧げる殴る蹴るの暴力描写、と、韓国映画ならではの痛覚に訴える描写がてんこ盛りです。この生々しさが男性自身を失いながらも快楽を求める父子に刹那の絶頂を付与するのに貢献しているのだとは思いますが、元々は不貞で快楽に耽っていた父のせいで痛みが訪うのであって、痛みを和らげるために快楽を求めるのはまさに一箇所捻れた『メビウス』の輪のごとし。痛みと快楽、失踪と帰還、獣声とコミュニケーションといった円環が意図的に捻られている様子を俯瞰するには、視聴者もまた自分の捻れに立ち戻ってみなくてはいけません。何で映画を観て自己批判させられるんだギドクてめえ、これからもどんどん映画撮れよ!


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