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怪物ができるまで - 『悪童日記』 - 1953ColdSummer

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怪物ができるまで - 『悪童日記』


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童日記
A NAGY FUZET/LE GRAND CAHIER/THE NOTEBOOK
2014(2013)/ドイツ/ハンガリー/PG12 監督/ヤーノシュ・サース 出演/アンドラーシュ・ギーマント/ラースロー・ギーマント/ピロシュカ・モルナール/ウルリク・トムセン/ウルリッヒ・マテス/ジョンジュヴェール・ボグナール/他 原作/アゴタ・クリストフ/『悪童日記』
僕らは書き記す。
この眼に映る、真実だけを。



 こん○○は、悪童ブログです。やれ映画の日本版ポスターがどうだのやれ映画の中の立膝がどうだのと騒がしい今日この頃ですが皆さんヒマなのでしょうか? と、やさぐれた気分になっており、積んでいたDVDをだるま落としの要領でスコーンとやったら『悪童日記』が飛び出てきたのでこれをプレイヤーにセット、リモ・コンを手に取ると再生ボタンを押したのじゃが、いやあ参った。参りました。降参々々。っと、これがまた非常に胸糞のよろしいお話で、原作の方もいつか読もう読もうと思いつつ今日に至るまで読んでいない分際で斯様な事を奏上するのも気が引けますが、神話の系譜に連なる寓話として、或いは現実の延長線の喩話として、アレゴリとリアリズムを綯い交ぜにしつつあの日の少年であった自分を内省できるのではないのでしょうか。

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 主役の双子はどこから連れてきたのだか知らないが、演技経験の無いズブの素人だという。それにしては……いや、だからこそと言うべきか、その険しい目に宿す光には虚飾の輝きは無く、たびたび挿入される印象的な窃視・観察の場面で渇き切った視線を対象に遣っている。この目が視る光景を我々もまた観て、また読む事ができるのだからそれはそれでまた贅沢な話だとも思える。

 国の名前も、土地の名前も、人の名前すらも殆どが出て来ない本作。だが架空というには現実的過ぎ、言語表現は主にハンガリー語で行なわれる。「ドイツ将校」だなんて明らかに国の固有名詞も出てはいるのだが、それがお茶目なのかナチ支配下を匂わせる文脈なのかは不勉強にしてよく判らない。ただ物語の主眼はそこには無く、主人公の双子が置かれた劣悪な環境と生きる上で身に付けていく“悪”を強調するがため諸々が伏せられているのだという事は容易に察せよう。戦時下に疎開してきた「魔女」と呼ばれる祖母の住む家。そして「メス犬の子供」と呼ばれる双子。と、お膳立ては整っている。ブダペストからの疎開はそのまま映画外から映画内への双子の編入を意味する。それは同時に、幼年期の終わり、保護が剥奪された事を示すものだ。

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 どんな苦痛よりも「引き離される事が一番辛い」と双子は言う。片方がもう片方と補い合う補完関係、と書くとちょっとイイ話のようにも思えるが、逆に言えばそれは半身、半分人間という事で、お互いはそれぞれ半人前でしかなく、しかも都合の悪い事にここは戦時下、さらには虐待と窮極の劣悪な環境が双子の人格を形成する。追い詰められた人間がどうなるかを知る十全の機会を与えられながら、それを血肉とする事の意味は知らないままに“いたずら”を繰り返す双子。この無邪気に荒ぶる若い魂を祀り鎮める役割を誰もが担えないのが人道的に憂うべきところであり、映画的に棘立ったところでもある。痛みに耐える訓練と称してお互いを殴り合う双子の姿には既にある種の自主性が確立されており、そこら辺の大人が諭そうにもどんな言葉を用いれば良いのか分からない。

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 恐怖に覆われた世界の中で脅威と化していく双子の姿には見るべきものがある。二級品として育ってしまった人間の数少ない選択肢のひとつであるからだ。自殺か他殺しか選択肢の無くなってしまった人間を我々は映画や小説で多く見て来たし、それはドラマの可能性として散々商業利用されてきた。人間としての立体性や多面性を剥奪された者の末路は何時だって娯楽と嘲弄の対象だ。だがそれに疑義を差し挟むためにマイノリティの物語があり、テロリズムの手法がある。そしてこの『悪童物語』は、間違いなく少数派の物語だ。多数派の死角めいた価値観を提示するのではなく、名前を排し、成長を廃した子供を用いた普遍性のある語り口の物語だ。そこにはリリシズムもジャーナリズムも存在せず、ありのままの子供の悪があるだけで、それが怪物と見えるならば幸せな多数派に属しているという証左なのだろう。と思われる。


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