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踏み躙られる不文律 - 『FRANK ―フランク―』 - 1953ColdSummer

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踏み躙られる不文律 - 『FRANK ―フランク―』


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FRANK ―フランク―
FRANK
2014(2014)/イギリス/アイルランド/G 監督/レニー・アブラハムソン 製作総指揮/テッサ・ロス/他 音楽/スティーヴン・レニックス 出演/ドーナル・グリーソン/マイケル・ファスベンダー/マギー・ギレンホール/スクート・マクネイリー/フランソワ・シヴィル/カーラ・アザール/他 原作/ジョン・ロンソン
被っているから、自分でいられる。


 隠されると気になる。
 これは最早ひと、にんげんとして生くる以上克服しようがない宿痾であって、『サイレントヒル』の日本刀から女性のスカートの中身まで、コソコソ隠されると気になって仕方がない。そんな強迫性神経症かそれとも霊障かよく判らんもやもやを抱えて生きてて楽しいですか? 「楽しいですか?」って訊かれてもなあ。どうせその後「あなたのために祈らせて下さい」と来るんだろう。俺は昔大阪でオ●ム真理教にそうやって小冊子を押し付けられて以来トラウマなんだ。やめろ。つて、ワガの隠された記憶を暴きながらどうれ一丁こやつめの隠された素顔も暴いてやるかっと、常にチープな被り物で顔を隠しているフランクさんのお話こと『FRANK ―フランク―』を観たのですが、問題はフランクさんの役柄をマイケル・ファスベンダーが演じていると事前に知っておりましたので、『エレファント・マン』のジョン・メリックに対するような見世物小屋的好奇心を望めなかった事です。
参考:世界で最も美しい顔100人」を発表した米映画サイトが男性版トップ100を公開。1位に輝いたのは俳優マイケル・ファスベンダー

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 とは言い条、本作は私の大好きな「小さな王国の崩壊」を描いたもので、フランクさん達のグループ“ソロンフォルブス”の破天荒な音楽活動やエピソードも、キャプテン・ビーフハートを初めとした様々なバンドから着想を得ているそうで何を血迷っているのかといった感も否めないですが、裕福で不自由の無い家庭に育ったが故に見たまま聞いたままの事をしか歌えない新入りのジョンと、被り物を被り続け、即ちモチーフとなったアーティストたちのペルソナを被り続けながら彼らの破天荒を映画的に体現するフランクさん一味との交流、そしてすれ違っていく様が掌中の珠がこぼれ落ちていくようで。

 現代らしくSNSを活用したグループの宣伝方法や、揉め事ですらネットにアップして集客を図ろうとするジョンの姿に、一人だけ枠から飛び出してしまっている暴走が見て取れる。前半、1年をかけて山小屋に籠もり、独創性のある作曲をみんなで手掛けていた描写との対比から、ジョンの視野狭窄――みんなの才能の産物であるバンドを自分一人の発奮からメチャクチャにしてしまうその様子を胸に痛いと見るか、ある種の歯痒さを持って見るかで観客が試されているような部分もあると思うのだけれども、常に被り物をしているフランクさんの表情に感情は見て取れない。が、顔は見えなくても雄弁なところのフランクさんはその都度自分で「いま怒った顔をしているよ」などとよくもまあ喋って下さるので録音中の凸凹やその後に生じてくる軋轢などが分かり良くなっている。というかフランクさん以外のメンバーは普通に顔を出して喋っているので、“ソロンフォルブス”を奇妙なサーカス扱いしてはしゃいでいるだけのジョンと、音楽に自己実現を賭けようとする(でも有名にはなりたくないという二律背反)メンバーとの温度差は割と早い段階ではっきりしているのだけれども。

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 何かを隠す人が居る。その空気を察する事が出来ない新参者にとっては何を、何で隠しているのか気になって仕方がなく、例えばハンドポケットならばポケットの中に何を握り込んでいるのか、例えば被り物をしている人であるならば何故頑なにそれを脱ごうとしないのか、もう気になって仕方がない。そうして不文律を踏み躙られたコミュニティの末路というものは、痛いほどよく知っている。

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 チープな被り物をしている理由なんていざ聞いてみれば邪推の勢いを削がれるものだし、被り物をしていたからどうだという事も無く、そこにはエレファント・マンもジェイソン・ボーヒーズも居なかった事にやっと気付く。ここで肩を落とすようなろくでなしが世間の大勢である以上、勝手に期待されて勝手に裏切られたと詰られる不幸の種は尽きる事がない。そんな世界中の哀しみを背負ったかのようなジョンの背中がいつまでも余韻を引く。哀しむべきはお前と違うだろという冷罵から身を守るために今後ジョンもペルソナを被るのかも知れないし、それを音楽に昇華させられるようになるのかも知れない。
「何でこの人は被り物を被っているのか?」という自分の好奇心を逆手に取られるビターな映画。


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