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スパイダー、ループ、モンタージュ、オルタナ - 『複製された男』 - 1953ColdSummer

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スパイダー、ループ、モンタージュ、オルタナ - 『複製された男』


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製された男
ENEMY
2014(2013)/カナダ/スペイン/R15+ 監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ 製作総指揮/フランソワ・イヴェルネル/他 脚本/ハビエル・グヨン 出演/ジェイク・ギレンホール/メラニー・ロラン/サラ・ガドン/イザベラ・ロッセリーニ/他 原作/ジョゼ・サラマーゴ/『複製された男』
“脳力”が試される、究極の心理ミステリー
あなたは、一度で見抜けるか――



 幼女の格好したババア最高だろが! あっいきなり知りたくもない個人性癖(それもかなり特殊な)をboldで読まされた皆様すみません、最近モーニング誌の『コンプレックス・エイジ』という漫画にハマっておりまして。ところでこの漫画をひどく大雑把に説明するとコスプレの話(ひどく大雑把)なんですが、変身願望とか承認欲求とかそうした100万回ほど論じ尽くされて出涸らししか出なくなった話は脇に置いておくとして、ひとりの人間が別人になる、という事態には、怪人二十面相の変装史を紐解くでもなく中々に含み深いものがあると思う。

 だが、別人に成り切ってしまえるのはまだ幸せだ。整形して、指紋を焼いて、声帯を潰して、名前と嵩張るものを全部捨てて新たな人生に踏み出す第一歩は呪わしい祝福に満ち溢れている。だが問題は自分が他人になる事ではない。自分が自分と対峙する事なのだ。そこに祝福――忌まわしさを伴う――はあるのだろうか?
『複製された男』では、大学の歴史講師アダム(ジェイク・ギレンホール)と三文役者であるアンソニー(ジェイク・ギレンホール・一人二役)が、その風貌から、声から、肉体的特徴から、お互いを「自分」と意識しゆく作為を愉しめる。そしてひと通りのミステリの愉悦を味わってのち、意図的に伏せられていたマインドに気付こうが気付くまいが頭上にクエスチョンマークを3つほど浮かべて煩悶する事になる。

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 身重の妻と高層ビルに暮らすアンソニーには過剰な肉体性が見て取れる。対して秘密クラブに出入りし、大学で教鞭を執るアダムにも肉体性はたっぷりと付与されている。決して足元がぼやけていたり、作中で物を動かす事が無かったり、背中を向けると消えたりはしない。視聴者の視覚上に、アダムとアンソニーというジェイク・ギレンホールが確かに存在していて、それを言うのならウェス・クレイヴンにリメイクされたアレでもキャンディス・ヒリゴスは確かに視覚上に存在していたわけなのだけれどもそんな話はまあどうでもいいとして、たいへん困りくさった事に、同じ顔と肉体を持った人間が2人存在しているわけだから、さあ大変。

灼熱の魂』(感想)『プリズナーズ』(感想)といった映画の体裁を採ったナゾナゾを常に問い掛けてきたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の今回のナゾかけはちょっとスゴイ。一応の回答らしきもの公式サイトに記されてある(ネタバレ有り)のだが、それは皮膚感覚的なものであって、胃の腑にストンと落ちるような理路整然、丁々発止の旗幟鮮明に論旨明快、すみません四字熟語並べればいいってものじゃないですね、兎角、明快な「解答」ではない。以前、ルールを発見する事自体がルールであり解答である、というゲームがありましたが、こと本作に於きましては、自分なりの解答に至る経緯をこそなぞるのが解答なのでは、という気がしないでもないですねって言うか私は映画が観たいのであってクイズに挑戦するつもりは毛頭ござんせんでしたがオモシロかったのでヨシとする。

「現状の自己認識」という点に於いて、自分が自分と対話する、つまり客観性に多少の匙加減を図るというのは、自分史をひり出してみるとか常に見られている事を意識しろだとか古くは毎日日記をつけてみようだとか色々な技法が確立されているわけだし、本屋で自己啓発書の棚を見れば、扇情的なタイトルでそれらをしよう行なえヤルノダと我々を脅かしてくるわけですが、もうひとりの自分が居たとして、そいつを殴り殺したくなる衝動を抑えてちょっくら話してみれば、これに勝る客観視も中々に無かろうと思う。例えば、不倫を働いた自分と、例えば、マザコンである自分と、それぞれ話してみればいささかの認知の歪みが矯正され、今度は別の認知が歪んでくるかも知れないがまあ有意義な対話が生まれるであろう事は予測できる。そげな予測を基に誰が誰に何を話していたかを注視する、というのは本作に限らず映画を観る、映画を読む、映画を出汁にふざけた文章を書く上での極上の味付けでありましょう。

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 主観と客観という繊細な二軸を扱いながらも、神経症的な虚仮威しに頼る事無い豪胆な画作りは最早巨匠の風格すら漂っていると言える。途中でセピアめいたカナダはトロントに巨大な蜘蛛が闊歩していたような気もしますが、最後にはもっとビックリすると思われるのでそんなドーベルマンみたいな顔はやめてください。「自分」と出会ってしまった「自分」をネチコラネチコラとイジメる作劇の割にはその監督の陰湿な視線が何だかこちらを向いているようで、そういった意味では皮膚が粟立つのを禁じ得ないのですがその視線こそが本作の「映画」としての芯の強さ。ただのクイズではない偏執的な映画の凄みを提示してくれやがります。個人的なパンチラインは大学の講義で引用されるヘーゲルにマルクスの有名なあれでしたね。「1回目は悲劇として。2回目は茶番として」。

 参考:
 謎を解き明かす鍵 映画「複製された男」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー カゲヒナタのレビュー
 複製された男/馬鹿は死んでもなおらない: 傷んだ物体/Damaged Goods
 複製された男/それは罠かもしれないが、いったい何の罠なのだ | 映画感想 * FRAGILE
 複製された男(ネタバレ)|三角絞めでつかまえて
 私はこうみた!『複製された男』(2013) - Enemy - | momoな毎日


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20150122 08:53 │ from 映画感想 * FRAGILE

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