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栄光に向かって走る、あのチャリンコに乗って行こう - 『少女は自転車にのって』 - 1953ColdSummer

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栄光に向かって走る、あのチャリンコに乗って行こう - 『少女は自転車にのって』


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女は自転車にのって
WADJDA
2012(2013)/サウジアラビア/ドイツ/G 監督/ハイファ・アル=マンスール 出演/ワアド・ムハンマド/リーム・アブドゥラ/他


 女性が何をするにしても、あれは駄目、これも駄目、てんで、斯様な社会通念に一石を投じるべく立ち上がったサウジ初の女性映画監督ハイファ・アル=マンスールの記念すべき初長編。だけどもや、この国では男女が公共空間で居合わせてはならぬため、マンスール監督は自動車内に潜伏し、モニターをガン見しながら無線で演技の事細かな指示を出しておったと聞く。このエピソードひとつ採ってみても、映画館の無い国サウジアラビアに於ける女性の生き辛さ、イスラム社会のなにがしを映画媒体に記録しようと思い立った監督の気持ちの片鱗はご理解いただけるのではなかろうか。

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 幼なじみの男の子とチャリンコ競争がしたくてたまらないじゃじゃ馬娘ワジダは、理解を示してくれない母親をよそに自力で小遣いさ貯めて自転車を買おうとするのだけれども、ちょっとお値段が張る。ワジダが困っていると都合の良い事にコーランの暗誦コンテストに優勝すると1000リヤルの賞金が手に入るという報せが届く。なけなしのお小遣いでそれまでまったく興味の無かったコーラン勉強ソフト(?)を購入し、ワジダは人生でこれ以上に無かったほど頑張るのだが。

 いや凄いですね。上のあらすじに何ヶ所イスラム社会通念に対する挑戦が折り込まれているんでしょうね。

 シズル感あふれる女性性のメランコリックに終始せず、白光と白壁、乾いた空気に相応しいカラッとしたドラマに仕立てた判断は、世界公開とジュブナイルを視野に見込んでのものであろう。
 悪戦苦闘、粉骨砕身の末に自転車を手に入れた少女が、ついついいなかの方にまで走って行って結句、「髪を切りやがれ」と言われて銃殺されたであるとか、自転車で休日を楽しんでいると、ナチの襲撃にあって最終的に鏡の裏から火炎放射器で復讐を遂げるであるとか、そんな内容だったらどうしようかなぁ、という事前の心配は全くの杞憂に終わり、厳しいサウジ風俗(お風呂屋ではなくて)をどこかシニカルにけれどもやや軽快なタッチで描写しつつも、普遍的なティーンズの揺らぎと反抗心を信仰の内部に依存せず見せた普遍性のある物語でありました。

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 コーラン暗誦のコンテストだかコンクールだかに向けてワジダの熱気が高まっていく様子はスポ根映画のようでもあり、ブロマイドを扱ったり密会の橋渡しをして小銭を稼ぐ様子は悪ガキ映画の冒険前のようでもあり、さした束縛に端を発するちろちろとした熱情の発露は選択肢の寡少から逆に多く見られるものだ。勉強をしなければいけないときに部屋を片付けたくなる。仕事が差し迫ったときにフルチンで踊りたくなる。日常と化した強迫により逃げ場が無くなったとき、わたくしめら凡俗はワガの信用の失墜に繋がる行為に手を染めがちですが、女性、つうだけで女教師や母親といった同属からも戒められるサウジの少女はささやかなロックンロールに身を委ね、自転車に乗ってやる、と我が朝の糞餓鬼から見れば愛くるしい反抗に気焔を上げる。だが、この反抗に手を貸したのは酸いも甘いも噛み分けた女性監督。ここに、唯々諾々とさせられたイスラム女性の反撃の狼煙を見遣るのは希望的観測に過ぎるでしょうか。

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 少女の少女らしい頑張りにいちいち社会を絡めて何か書いているとあほがばれるのでそろそろ総括するが、米帝的資本主義がサウジの日常に侵蝕している様子がどういうニュアンスで描かれているか、を見るのも面白いでしょうと思う。テレビゲームにサテンのドレスにミサンガ。それら物質的な文化を、彼ら彼女らは喜んで享受しているのか、もう日常のいち風景とばかりに意識もしていないのか、マンスール監督のもうひとつの視点はこの「日常文化」にもあって、自転車を作中初めて目にしたときのワジダの表情にどの種類の歓喜を浮かべさせるか、相当に考えたのであろうと自分は推理する。しかし100分ほどの映画でどれほど問題を提起するのであろうか。反体制の女性監督。と遠い国のことを考えながら。


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