外壁塗装 東京

闇社会に憑かれる『The Darkest Corner of Paradise』は現代のトラヴィス・ビックルを生み出すか - 1953ColdSummer

1953ColdSummer ホーム » スポンサー広告 » 映画 » 闇社会に憑かれる『The Darkest Corner of Paradise』は現代のトラヴィス・ビックルを生み出すか

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



闇社会に憑かれる『The Darkest Corner of Paradise』は現代のトラヴィス・ビックルを生み出すか


dcpdd1.jpg

dcpdd2.jpg

The Darkest Corner of Paradise 
(日本公開未定)
2010/アメリカ 監督/Henry Weintraub 出演/Patrick O'Driscoll/他


 以前、『ホラーSHOX [呪]』さんでの紹介記事を見かけ、これは中々に面白そうではなかろうかと輸入盤を注文、あいだ、正月を挟み、餅を食ったり幸若を舞ったりしていたらやっとこさ届いたので、ひょうたん柄の紋付羽織袴で正装をし、これ正座をして観入ったのだけれども、用便を我慢して観終えたのち、小生、いつかしら味わったことのある感動をつと覚え、何かしら、この子宮の疼く感じは……。つて、下腹部を揉み々々斜め上方に視線を遣り、口を半開きにして小一時間ほど脳内を検索したるところ、あゝあれだ、これは、『タクシードライバー』を初めて観たときに受けたが薫陶に似ておるのだ、少々お話も似ておる事であるし、そも、脳の線が1本切れた、いち市井が偉そうな人間を殺しに行く映画が面白くない筈が無い。恬然を気取った態度、生活、表情、就活の根底に煮染められた激情の発破がもたらす多幸感に我々は与するものである。

 ほで、『タクシードライバー』的な、とか上で書いておいてあれだが、この円盤には英語字幕すら入っておらず、それ即ちヒアリング能力がヤポン語ですら怪しい乃公にとっては致命的なところで、とは言い条、世の中にはインターネットなる利便性を追求するがあまり人として大切な何かを失う技術があるし、はな、映像を目で追うだけでも凡その話は脳内で都合よく結実されるので、そんなに長い映画でもないし、何よりもモノクロの映像と、頻出する表情のクローズ・アップや幾何学的な部屋・街並みのシーンが洒脱なので視覚的に飽きが来るっつう事もない。おまけにビヨヨヨ~ンというストリングスがいちいち鳴り響き、本作のノワールとしての本性を雄弁に物語り、後述する異界感にほろ酔える。

 就活中のピート君はどこへ自分を売り込みに行ってもお祈りされる毎日(なのだろうと思う)。レストランのちょっくらマブい娘が気にかかるもの(なのだろうと思う)の、秋風悲し五丈原、映画に誘う度胸も金も持ちあわせてはおらず、バイトで糊口を凌ぐ鬱屈した日々を送っている(のだろうと思う)。そげなある日、自宅の前にちょっと関わっちゃならぬ感じの傷ついた女性が居て、それに関わってしまったがばかりにピート君はギャングどもの裏社会に足を踏み入れてしまう。
 うだつが上がらず、女運も無く、職も無いのならばタクシードライバーでもやってモヒカン決めて大統領候補を殺しに行くのがひと、にんげんとして正しい筋道であろうといふものであるが、ぼっこんぼっこんに打ちのめされたピート君の怒りが爆発する最後の方はさながら俺流タクシードライバーといった味わいがあり、あちらがベトナム・トラウマであるならばこちらはヤクザ・トラウマとでも言うのでしょうか、自分の現状のくさぐさから闇社会を仮想的とし、身の回りのこじんまりとした世界に抗おうとする様子はプッツンの不条理に満ち満ちており、オシャレっぽいカット割りや寒々しい部屋の描写なんかで誤魔化そうとする気概は感じるものの、「世界からいじめられている」つう意識が隠し切れておらぬ。実際世界からいじめられている人は『タクシードライバー』『ドリラー・キラー』『フォーリング・ダウン』に『死神ランボー 皆殺しの戦場』といったDVDコレクションに本作を加えて世界に反撃するべきだと思うし、オリジナリティのあふれる武装をして外に出るべきではあるが、こちらには近寄って来ないでいただきたい。

dcpdd3.jpg

dcpdd4.jpg

 現代の理不尽の中でも、就活というのは理不尽の最たるものであり、その不安定を軸にピートという主人公を造形したのは、雇用不安を訴える社会派趣味なのではという観方もあろう。が、それとギャングの揉め事に巻き込まれるというのは別の話で、理不尽に別の理不尽が重なるそのストレスたるや想像を絶する、程でもなく、割とアメリカだとあるんじゃないかな、こういう事。と思わしめるような微妙なラインの引き方が、本作の低予算を逆手にとったスマートさでもあり、白黒映画で白と黒、つまり部屋の掃除やアルバイトといった細々した日常から、地下道や拷問場所っつう夜の異世界感にまで通底するセンシティヴさでもある。

dcpdd5.jpg

dcpdd6.jpg

 映画でおきちがい様が何かをやらかした場合、その行為は誰の何を代弁しておるのか、というような事をうがってしまうのは映画ファンのこざかしさでああるが、現実社会で、例えば電車内でひとりで演説をなさっている方などは特に誰かの意見を代弁しているのではなく、いやたまには神とか○皇とかの意見を代弁しているのかも知らんが、ほとんどは脳内でおきちがい様なりのルールを作り上げて、それに沿って演説をしているのである。誰かのために怒っているのではなく自分のために怒っている。決して映画ファンから委託された役割を演じているのではない。そこんとこ本作はよく出来ていて、主人公の怒りに密着し過ぎることをせず適度に距離を取っている。演出不足とも言わば言え。世界に対する怒りというには、世界そのものがあまり描き込まれていないのが吉と出たのか凶と出たのか、木偶は木偶でもピート君は何かしらの代弁のための人格は付与されてはおらぬ。はな、拳銃を手にした彼の目を見よ顔を見よ! あれは単に夜に取り憑かれたものの顔であります。敬具。


Darkest Corner of Paradise [DVD] [Import]
Darkest Corner of Paradise [DVD] [Import]

売り上げランキング : 175191

Amazonで詳しく見る
by G-Tools




関連記事
スポンサーサイト
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...



コメント
非公開コメント

トラックバック

http://d1953coldsummer.blog64.fc2.com/tb.php/1102-a3739e6f

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。