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2013年11月の読書記録(『幽霊の2/3』他) - 1953ColdSummer

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2013年11月の読書記録(『幽霊の2/3』他)


 月末が訪うたびに思うのは、皆が皆、如何様に時間を工面しておるのかという事で、時間の工面、とは簡単に言うが、職務、家事、冠婚葬祭に加持祈祷、イオンモールで映画を観てスターバックスでiPadを取り出し泥鰌掬いをする、てな行ないの殆どは時間を工面せねば遂行する事がこれ難しく、しかもどれひとつとして人間が人間として社会を構成するには欠かせぬ行為であり、これを怠りたる場合、ニート、穀潰し、鼻つまみ者、悪魔憑きの禁治産者、共産主義のアカなどと呼ばれ、指差され、尚それを後目に殺して屁をひりながら余裕をぶっこいておると、まあ、詳細は省くが、暇さにかまけて、あゝ不定世界、とかインターネットに書き込んだ瞬間、秘密保護法に触れた咎により秘密警察が押し入ってきて、それから先は時間を工面する必要すら失われてしまうのである。

 以前、出版社で激務を精力的にこなし、仕事後も何か秘密めいた事をしておるという三島というパイセンに、「ぶっちゃけ、仕事の後何してるんスか」と訊いてみた事がある。三島先輩は白い歯を出してにやりと笑うと、
「自分自身の男をしごいている」と言った。
 一瞬、この人は何を言っているのだろうと思い、何となく先輩の自分を見る目つきや、笑い方、ワイシャツからはみ出た体毛などが怖くなってきて、は、はぁ……つって、両手でお尻を押さえ後退り気味に曖昧な返答をすると、何を勘違いしているのかね君は、それじゃ僕がまるで色きちがいみたいではないか、と、アフターにはボディ・ビルディングで自分の身体を鍛えている、つう旨を笑いながら説明してくれた。油っこい笑顔だった。

 というような事を、今月は割合、時間を工面出来たかもなあ、つて、使いもしない瓢箪柄の風呂敷に要らないものをまとめたりしながら思い出したりしつつ、時間を工面する、つうか、時間は工面できるときにすればいいのであろう、薄い本読むとか、必要に駆られたものだけ再読するとか。という極めて当然な事にやっと気付いた11月の終わり、あゝ不定世界。あっ何か玄関の外が騒がしいな。

 という事で、今月の読書記録。 

コズモポリス (新潮文庫)コズモポリス (新潮文庫)
ドン デリーロ Don DeLillo

新潮社 2013-01-28
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 今年はデリーロ原作映画もマッカーシー原作映画も公開されたので後悔の無いようにいっちょアメリカの最前線文学でもこましてやろうかの、ははは。その前にちょっとパラニュークでも再読を、と疼く手を抑えて『コズモポリス』のデリーロ原作を読んだ。映画では「人民元の下落」により破滅していたものがこちらでは「日本円の暴騰」により破滅、時勢柄、と言えばそうなのだろうけれども、少しここらに政治的な意図が介入していたのかなと思いつつも、地文で読む空虚と希死念慮を考慮するにクローネンバーグは良い仕事をしていたのだなぁと。ラストシーンに主人公が何を考えていたか、あっさり説明されていたので少々の拍子抜けも覚えたのだけれども。

幻の湖 (1982年) (集英社文庫)幻の湖 (1982年) (集英社文庫)
橋本 忍

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 DVDが再販されたので、橋本忍自らがペンを執った原作も読もうと思い耽ったのであるが、映画の方でトンデモ、乃至よう分からん、とされておる部分にちゃんと説明が施されておったので(道子がトルコ嬢になった理由とか)、のち、再販DVDの方を観ても然程の混乱はなく、脳内で補完できたのはいいのだが、後でDVDもカット版である、つう情報を得て渋面を作った。主題が散漫であるイコール詰め込みすぎ、という世評はよく分かるのだけれども、至尊に近付いた橋本忍の当時の嗜好を判断する上で映画と共にこれを併読してみると、『幻の湖』の世界観の輪郭が嫌でも浮かんでくる。

幽霊の2/3 (創元推理文庫)幽霊の2/3 (創元推理文庫)
ヘレン・マクロイ 駒月雅子

東京創元社 2009-08-30
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 稀覯本のたぐいであったヘレン・マクロイの再販。解説に杉江松恋氏が「最も美しい題名の長編ミステリ」と賛辞を寄せていたが、雰囲気、トリック、真相の三位一体となった本当に幾何的かつ美しいタイトルだと、自分でもそう思った。50年代の出版状況を背景にした物語にノワールめいた空気すら漂わせながらも、無知蒙昧にして自分はあまり気付かなかったのだが、それらをパロディとして風刺した舌鋒の鋭さが最大の評点であったらしい。

少女コレクション序説 (中公文庫)少女コレクション序説 (中公文庫)
澁澤 龍彦

中央公論新社 1985-03
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 澁澤翁の本って中毒性があるよねと再読。幼児体験の項に関して、「芸術とは失われた子供の身体を取り戻す行為である」という箴言にハッとなって、こういう重要な言葉を馬鹿みたいにど忘れしていたりするので再読行為は必要なんですよ自分にとって。

さかさま世界史 英雄伝 (角川文庫)さかさま世界史 英雄伝 (角川文庫)
寺山 修司

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 寺山修司の本って中毒性があるよねと再読。英雄譚偉人物語、良識に社会通念といったものを著名な人物に仮託して突っ込みを入れていくかたちは分かり良いし、子供たちが薄々と、大人になってからはぎすぎすと感じていた説話の穴に気持ち良く解釈を示してくれるので、「本当は怖い何たらかんたら」よりも主知的に偉人とその背景を愉しめる。

暗渠の宿 (新潮文庫)暗渠の宿 (新潮文庫)
西村 賢太

新潮社 2010-01-28
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 私小説の巨星の恋愛譚。恋愛譚として読んだ。西村賢太の描写は肉体性と生々しさがまずあって、観念でごまかしたり煙巻にしたりとちょこざいな技巧を駆使しないのが清々しいと思う。何て事はない風俗嬢に貢いだらえらい目にあったというお話なのだが、自分の恥部をこうして物語化する事によって一種のカタルシスを得て更には安寧を図る方法も悪くはないなと感じるなど。

ついてくるもの (講談社ノベルス)ついてくるもの (講談社ノベルス)
三津田 信三

講談社 2012-09-06
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 刀城シリーズ『椅人の如き座るもの』収録。往年のホラーにリスペクトを捧げたトリックから、トリックの一言で終わらせられない怪異までもが陳列……されているのはいいのだけれども、実は自分は三津田信三にはホラーよりもパズラーを期待していて、それは主に三津田ミステリの怪異がほぼ似たような「正体不明」パターンばかりだという事実に依るのだが、それでも収録作『裏の家の子供』の「子供」を理解した時はゾッとした。

小説 始皇帝暗殺 (角川文庫)小説 始皇帝暗殺 (角川文庫)
荒俣 宏 陳 凱歌

角川書店 1998-12
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 しばらく史劇を読んでいなかったので再読(映画の方のDVDも買わないと……)。三角関係という矮小なものを壮大に書くのは常道と言えど、そういう事を言う人は様式というものを楽しめず人生を損してしまうし、コーエーのゲームの武将エディットで登場させる楽しみも減殺されてしまうので、と、この「鉄の神話」を噛み締めようと思ったのだけれどもやはり荒俣先生はもっとトリビアルな物語の方が好きだな。

涙流れるままに〈上〉―吉敷竹史シリーズ〈15〉 (光文社文庫)涙流れるままに〈上〉―吉敷竹史シリーズ〈15〉 (光文社文庫)
島田 荘司

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涙流れるままに〈下〉―吉敷竹史シリーズ〈15〉 (光文社文庫)涙流れるままに〈下〉―吉敷竹史シリーズ〈15〉 (光文社文庫)
島田 荘司

光文社 2002-01
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 吉敷竹史シリーズの集大成なのですが実はまだ読んでいなかったのですよ(ぺこり)。加納通子というキャラの掘り下げと、いつもの日本の暗部批判、本作に至っては冤罪と警察国家の恐怖ですな、を痛烈に描く。警察小説としてのハードボイルドよりも犯人(またはそう目されている人物)に対するウェットな感情が島田御大の古びない文体の秘訣であり手法であり。しかし若い女性や性描写を書かせたらここまで客観的・分析的になれる作家って今後出てくるのかしら。

 10冊。何ヶ月ぶりに「1ヶ月に10冊は読む」という基本理念を遵守できたのか不貞な顔をして考える。
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