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『パシフィック・リム』 怪獣を屠るイェーガーの空虚 - 1953ColdSummer

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『パシフィック・リム』 怪獣を屠るイェーガーの空虚


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パシフィック・リム
PACIFIC RIM
2013/アメリカ/G 監督:ギレルモ・デル・トロ 出演:チャーリー・ハナム/イドリス・エルバ/菊地凛子/他 


 日本は飽食の国である、てな事を、子供のころから聞いている気がする。はな、飢餓の国よりはマシでしょう。と、今日も阿亀蕎麦を手繰りながら思うのだけれども、そがな事言うとると薬缶のおちょぼ口の部分で頭をどつかれるか分からんし、飽和しているのは何も食料/飲料ばかりではなく、より文化的なものもそうであるともこれ言えるのであって、対戦格闘ゲームが流行れば対戦格闘ゲームが雲霞の如くに湧いてきたし、ロボットアニメでジャリから小遣い巻き上げられると判断されたならば、ロボットの数だけ戦争とプラモデルが産出されたのである。かかる経済的サブカルチャーに漬かって育ってきたら人間はどうなってしまうか。

『パシフィック・リム』は怪獣(作中では「KAIJU」表記)たちと、それを討伐する巨大ロボット・イェーガーたちのどつき合いを描いた映画である。
 ロボットや怪獣に関しても飽食である我が朝に殴り込みを果たした『パシフィック・リム』。オタクと呼ばれるギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』には甚く感銘を受けたものだが、『パシフィック・リム』には、例えば……ロボットとロボットがどつき合った挙句、最後、パイロットの精神が崩壊して廃人になってしまうだとか、人は殺さないその怨念を殺すと雄叫びこきながら宿敵と相討ちになってしまうだとか、全存在が消滅するものの、人々の魂はひとつと成りて海から鳥と飛び立つであるとか、そうしたあまりにも感動的な「日本のロボットジャンル」を超える演出があるのか、飽食ニッポンの人民であるわたしはグルメなる煩悩の火をてらてら灯しながら観に行ったのだけども。


 なぜ大洋から怪獣は上陸してくるのか、説明は成される。成されるのだけども、それは飽くまで「説明」なのであって、美学や哲学めいた思想はとんと見当たらぬし、そもそもが、説明なんざ枝葉に過ぎぬ、刺身で言えばツマであるからして、メインの刺身であるロボットと怪獣を楽しまれよ、つう姿勢が「正しい観方」として、映画製作にまったく関係のない人たちから喧伝されておる。オッケ。ロボットと怪獣を楽しみましょう。怪獣が水面下で犬かきをしたり、ギャオオとのけぞったりする日本ナイズドされた怪獣演出に歓呼の声を上げましょう。でも歓呼の声を上げつつ脳内にはとても冷ややかなもうひとりの自分が居て、「刺身でも、ツマが美味しかったらもっと舌鼓を打てるよね」と真顔でこぼすのだ。

 デル・トロ監督は、日本のロボットアニメでは『機動警察パトレイバー』シリーズが一番好きだという。パトレイバーのコミック版では廃棄物13号という怪物と戦う話もあった。だが、そこには丹念に積み重ねられた話があって、が故に「ロボットと怪獣の戦いだけを楽しむ」というもったいない読み方は出来なくなっている。
 日本製のロボットの設計にはいつだって思想があったし、思想家でないとロボットを用いてお話を起こす事は出来なかった。水木しげるの『ラジコン大海獣』ですらが、大海獣と化して上陸してくる鬼太郎と、欲望と保身に駆られた山田秀一青年の思惑を軸とし、機械と怪獣の戦闘に共示義を添える事になっている。

『パシフィック・リム』に目を凝らす。そこには物語への背反――アンチクライスト――が成立している。

 シンプルである事。削ぎ落とす事、無くする事を潔しとする、英断であるとする行為はある種の物語に取って確かに主題/主眼への特化をもたらし、映像程度には饒舌な説明として受け入れられやすくなる。だが、物足りない事、少ない事、ドラマが脆弱である事を「信仰」までに高むるのは危険である。それは映画の感想ではなく、自己陶酔に基いたポジショントークをしか吐かない事を規定するものであるから。

 多くのロボットアニメ、怪獣特撮を飽食してきた日本人は、同時に多くの洋画をも飽食してきたはずである。なのに、いや、だからこそ日本人は物語を求める。先進的なデザインを求める。個性的なパイロットを、灼熱のエピローグを求める。戦争の果てに散っていった魂たちの力でバイオセンサーが反応するような、ロボットとパイロットと物語の三位一体を求める。ギレルモ・デル・トロは「怪獣は人間の想像力のシンボルである」と言う。そして、観客側にも当然、想像力のシンボルがあり、それが映画に対しての分水嶺、評価基準となっている点も無視してはいけない。ロボットと怪獣のプロレスだというが、プロレスにも物語があるという点も無視してはいけない。


パシフィック・リム (角川文庫)パシフィック・リム (角川文庫)
アレックス・アーバイン 富永 和子

キャプテンハーロック (角川文庫) Pacific Rim WORLD WAR Z 上 (文春文庫) WORLD WAR Z 下 (文春文庫) Pacific Rim: Tales From Year Zero (Legendary Comics)

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