20120514[Mon]
[カテゴリ]映画

ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
BRIDESMAIDS
2012/アメリカ R15+ 監督:ポール・フェイグ 製作:ジャド・アパトー
結婚は人生の墓場、なんてことをかしこみかしこみ既婚者が申し上げておる様子をよく見る。が、どこかその表情はうっとりと恍惚に微睡むように、ちょっと斜め上の方を見ながら申し上げてくる場合が多いようにも思え、そんなツラをして「結婚は人生の墓場で御座いまするよ〜」なんて言われても割と白々しいっつーか、そういう態度に対する適切な対処法を乃公は持ち合わせてはおらぬので、自然と、ははは、って愛想笑いで追訴免責、結婚願望が皆無である乃公はそうして適当に話題を毎回逸らすのである。
だが、結婚は人生の墓場、なる文言については少しく考えてみるのも面白いかも知れない。結婚は人生の墓場。墓場である以上は、アンデッド、主にゾンビなどに縁(えにし)が深いと思われる。更に恍惚の表情で「結婚は人生の墓場なのねン」などと唱道する既婚者のその作家性から鑑みて、敢えてロメロや今風のやつではなくフルチ的なゾンビをわたしは想像する。結婚という人生の墓場には、走ったり思考したりするゾンビは居らぬのだ。蛆をたからせ徘徊するその姿。はは、詰まるるところ、結婚という人生の墓場には一切合切の天佑神助は無く、喰うか喰われるかのサバイバル、極限状況が繰り広げられておるのだ。斯くしてわたしは達観し、既婚者たちは死霊のいけにえなのであるとの天啓を受けた。
そして、その高まり低まらぬまま、結婚という人生の墓場の死霊のいけにえたちを俯瞰してみて気付いた事がある。結婚という人生の墓場のゾンビ・ハザードは、結婚という人生の墓場の周囲に居る人間たちにまで波及被害を与えておるのだと……。
結論から言うと、結婚という人生の墓場の近しい周辺に居るブライズ・メイドたちは、すでにゾンビと化した/化す予定の新郎新婦に追わるる者なのである。
ブロマンス映画の新鋭ジャド・アパトーが手掛けた新作、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』を観ていただければ話は早いのだが、つがいになることが決まって幸せ有頂天の男女の周囲には、多種多様な思い、祝福、呪詛、などが渦巻いてぐちゃぐちゃになっており、ま〜結婚おめでと〜なんて笑顔の裏には般若が潜んでおり、ハレの舞台へと向けてほたえ騒ぐその背景には、婚姻という伝統の古怪な肌触りがぬめりと存在するのである。
店も潰れて男には身体だけの関係を求められ仕事も上手くいかない割ともうどうしようもねえ感じの主人公アニーは、それでも親友でいてくれる幼馴染リリアンの結婚式の付添人たち、ブライズ・メイズですな、のまとめ役を依頼される。ので、ある、が、そのブライズ・メイズが一筋縄ではいかないオンナどもの集まりで、私生活が割ともうどうしようもねえ感じのアニーは、ブライズ・メイズの中でもセレブ臭くて顔面の偏差値が高くてプレゼント上手なヘレンにぎりぎりめらめらと嫉妬の炎をたぎらせてしまい、新郎新婦を出汁にみじめなプライドを炸裂させて人生の深淵を覗き込む、というお話。
こうした心が鬱屈してしまった人を救うのは難しいが、見ている分には楽しいもので、例えるなら『ハングオーバー!
とは言い条、現実に即して考えてみららば、あまり笑えないであろうこんな話をコメディとして成り立たせておるのは流石なる手腕と言う他は無く、リアリティのある主題をゲロやウンコネタで希釈するのは逆説的に上手いとは思う。目に見えない人間関係より目に見えるゲロやウンコに人間は注視してしまうものだからね。少なくとも僕はそうさ。
でも、まあ、そんな深刻さにひょいひょいっと手を差し伸べてくれるのが映画の優しさで、恨み妬み嫉みから視野狭窄に陥ってしまったアニーにも、良き人間関係、救いの手じみたものが差し伸べられる。ここでアニーは蒙を啓かれて、カービン銃を持って結婚式に乱入、片っ端からぶち殺してへらへらしておるところを駆けつけた警官隊に取り押さえられる、なんて展開があったら是非観てみたいものだがそんな展開では当然なく、アニーのだらしなさから縁を持った警官や、ワガの中のやっぱり友人は大切だという根本的な思いから、どうせならみんな幸せになろうよと大団円に向けて走り出す。女性版ザック・ガリフィアナキスというか女性版タイラー・ダーデンというかそんな怪演を見せたメリッサ・マッカーシーの後押しなんかとても印象的でありました。そして、クライマックスにはある大物がサプライズ出演。ここらも『ハングオーバー!』を意識しておったのかなとへへえと口を開ける。
結婚願望皆無だと先に書いた自分だが、友人の結婚式には出席するしその場では笑顔を作る。かなり無理をした式もあったのだがそういうことをぶつくさ言わず新郎新婦を言祝ぐ。これくらいの心意気があればどうにかなりまするよ。という教訓めいたものも感じて本作を満喫した次第。
まあ、その友人は3ヶ月で離婚しましたが。
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